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アップル 2015年第3四半期業績発表:中間層増え続ける中国での売上112%増
2015年7月25日
Akira Kondo

Picture今年4月、多くの人々が行き交う上海のアップルストアー南京東路店。
21日、ニューヨーク市場終了後にアップル(NASDAQ: AAPL)が第3四半期決算を発表した。一株あたりの利益は$1.85で、コンセンサスの予想$1.81を上回った。売上は496億ドル(日本円で6兆1千5百万円)で、前年同時期に比べて33%の上昇となり、過去の第3四半期のみでは最高額となった。利益は107億ドルとなり、それに伴いアップルのバランスシートに含まれる現金等のポジションは2千億ドルにまで膨らんだ。今年4月から6月の期間に出荷されたiPhoneの台数は前年同時期に比べて35%増の4,750万台となった。今年4月から発売されたApple Watchの販売台数は発表されることはなかったが、「Other Products(他の商品)」のカテゴリーとして統計に含まれている。その他に、テクノロジー企業のバロメーターとなるグロス・マージンは39.7%、海外での売上は64%となった。これらの数字を全体的に見れば今回の第3四半期も素晴らしい結果となったが、翌日の市場ではアップル株は4%以上下落した。


中国とアジア

今回のアップルの業績発表は、前回に続き中国での売上が注目された。その中国(台湾、香港、マカオ含む)での売上は130億ドルにまで達し、地域別ではヨーロッパ全体の100億ドルを上回り、ちなみにトップはアメリカ大陸全体の200億ドルになる。もちろん国別では中国がアップルにとって最大のマーケットとなった。その中間層が年々増え続ける中国では、アップルの売上は前年比に比べて112%増となり、他地域の2桁台の成長率に比べとその差は歴然だ。アップルの中国でのウエイトはこれからも増え続けるだろうし、もちろんその要因となるのは中間層が増え続ける中国本土になるだろう。


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アップル地域別売上比率 | Source: Apple Inc.
その中国を除くアジア(日本を除く)の売上もアップルの好業績に貢献することとなった。アジアでの売上は前年同時期に比べて26%増(中国の3桁の成長率に比べれば見劣りはするが)となり、新しいiPhoneが9月に発売されることを見込んだ繰越需要(Pent-up demand)を考慮すると、この地域での第3四半期の結果はアップルにとって最良だったに違いない。ちなみに、日本での売上の成長率は1桁の9%となった。


iPhone、iPad、Mac

第3四半期、iPhoneの販売台数は前年同時期より35%増の4,750万台となった。昨年から発売された画面の大きいiPhoneは世界中で人気を集め、新型のiPhone発売の前となる買い控えの多い第3四半期でも大きく売上を伸ばすことに成功した。先ほども述べたように中間層が増え続ける中国でのiPhone
人気が突出した結果だろう。


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iPhone、iPod、Mac出荷台数 | Source: Apple Inc.
次にiPadの売上だが、2014年の第1四半期をピークに減少が続いている。その売上は前年同時期に比べると23%減で、販売台数は18%減となった。タブレット市場が飽和状態にあるのに加え、その買い替えサイクルも長いのでiPadの販売は苦戦を強いられているのが実情だろう。今秋に最新のiPadが発表されると思うが、アナリストの間ではあまり期待は大きくない。現在iPadが全体に占める売上比率は10%以下になっている。

その反対に、高価格帯のMac関連商品は堅調な販売を続け、間違いなくPC関連からの乗り換えも増えてきているのも要因の一つだろう。Mac商品の伸び率は前年同期に比べ9%増だが、数年前(2013年)の同時期の伸び率はマイナスだったので、年間を通してMac需要が堅調である表れだ。今年に新型のMacBookが販売され、来年にも最新のMacBook Proが発表されるかもしれない。また、新しいiPhoneユーザーが将来PCから斬新でエコシステムに優れているMac製品に乗り換える期待も大きい。現在Mac
製品が全体に占める売上比率は12%となった。



Apple Watch

残念ながら今回の業績発表ではApple Watchの販売台数は公表されず、投資家やアナリストの間では不評との見方も強まった。しかし、Apple Watchの売上は「他の製品(Other Products)」のカテゴリーに加わることになったので、おおよその予想はできる。ちなみに、「他の製品」にはiPod、Apple TV、Beatsなどが含まれている。昨年同時期のそのカテゴリーにはiPodとアクセサリーが含まれており、それぞれの売上は4億4千万ドル、13億2千万ドルでトータル17億7千万ドルだった。今四半期のそのApple Watchを含めた「他の製品」の売上は26億4千万ドルだったので、その中の約8億ドルから9億ドルほどがApple Watchの売上だったと予想できる。またそのApple Watchが全体に占める売上比率は2%以下になる。このApple Watch
はまだまだゲームの序盤のステージにあるので、これからの発展に期待したい。



不安要素

今年に入ってからの業績発表で中国の話題がいつも取り上げられるようになった。そのころからアップルの好業績の要因は中国から引き出されたもと言われ、それはこれから中国経済が5%台の成長率に入ろうとその傾向は今後続いていくだろう。また今年6月ごろから中国の株式市場は大幅下落を続け、マーケットには不安が広がっている。これからは弱めの経済指標が発表されるたびに、中国市場や海外市場に影響を与え、アップル株も大きくその影響を受けるだろう。ただ株式市場の下落よりも、中国経済がどれだけ低成長に陥るかの方が心配だ。中国では最新のiPhoneの価格は1ヶ月以上の給料になり、とても高価なアイテムとなる。ちなみに中国でのほとんどのiPhone購入者は裕福な上海などの大都市の人だ。もし中国経済が大幅に失速し、今後中国全体の所得が思ったより増えなければ、上海などの大都市以外でのiPhone
の販売は難しくなるだろう。



EPSと今後の業績

EPS(1株あたりの利益)は、今まであまり利益の上昇が期待できなかった第3四半期でも、スクリーンの大きくなったiPhone 6 シリーズの人気やApple Watchの発売、そして中国でのアップル製品の需要拡大により大幅に上昇した。投資家やアナリストにとってはもっと大幅な上昇を期待していたに違いないが、これはアップルの過去の第3四半期における最高の結果となった。今のアップルは中国なしでは語れなくなったが、これからもその中間層が年々増え続ける中国を中心に業績を伸ばしていくだろう。

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さて次回の業績発表だが、アナリストは一株あたり$1.86を期待しているが、それは今四半期から1セントの上昇にすぎない。7−9月に当たる第4四半期は最新のiPhoneが発売される時期に当たるので、これから業績が発表される10月にかけてEPS予想が徐々に上がっていくことになるだろう。過去の結果を参考にすると、アップルのEPSは第3四半期から第4四半期にかけて約10%上昇する傾向がある。もしその傾向が次回の業績発表に当てはまるとしたら、EPSが$2.00に達する可能性が高い。そしてその数字が現実になれば、アップルの2015年度のEPSは$9.25に達し、PE (Price-to-earnings ratio)は近年では最も低い13.5倍でトレードされることになる。将来のアップルの成長戦略や中国経済減速などのネガティブな要素もあるが、これからアップル株の購入を考えている投資家には今の株価は丁度いいエントリーポイントかもしれない。その間、アップルは1株あたり$0.52の配当を8月中旬に払う予定だ(配当権利日は8月6日)。


アップル:
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