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Power of Compounding: 72の法則と配当額増のマジック
2015年3月6日
Akira Kondo

Picture
「Power of compounding」という言葉をご存知だろうか?日本語に訳すのは難しいが、直訳すれば「複利計算のパワー」といったところだろう。アメリカ株式投、または投資全般において、この言葉は重要になる。今回は人気のアップル株を例にして、このPower of compounding(以下、PoC)について説明したいと思う。アップル株は昨年40%以上を超えるリターンを得て、投資家の目を引きつけたに違いない。特に昨年末発売のiPhone 6の人気は多くのニュースを賑わしたのは真新しい。さて、そのアップルだが次回の業績発表(4月下旬予定)で配当金額の上乗せが期待されている。昨年第4四半期に過去最高の180億ドルの純利益を得たアップルにとって、投資家への還元は増配と自社株買いよって行われることになるだろう。そこで気になるのが、配当額がどれだけ増えるかだ。そしてPoCがもたらすリターンを見てみたい。

アップルが配当を始めたのは2012年の8月からだ。その当時の四半期毎の配当額は1株0.38ドル(分割前はそれに7を掛けた2.65ドルになる)で、その後毎年5月に増配が行われ0.44ドル、0.47ドルと増えていった。変化率で見ると、2012年から2013年にかけて16%、2013年から2014年にかけて7%となる。この2年間の平均の配当増率は11.5%になる。2013年はアップルにとって利益が伸び悩んだ年だったので翌年の2014年の一桁台の配当増率もうなずける。では、次回4月の業績発表で注目される配当額が気になるところだ。ニュースなどでは50%の配当増などの噂が出ていたが、間違いなく二桁台の増配率になるだろう。

さて、配当額ではなく配当増額率が重要になるのか?

もし、あなたが保有している株式銘柄が毎年10%以上のリターンを得ることができたら、何年後にその銘柄の価値が2倍になっているかご存知だろうか?答えは「約7年後」である。例えば、10万円をその銘柄に投資して毎年10%のリターンを得るとする。10万円の10%だから1万円である。7年間で1万円を7回得ることができて、17万円になると思っている人は間違いだ。1年後に得るリターンは確かに1万円だが、その後はPoCの威力が発揮される。2年目は11万円(10万+1万円の利益)に10%のリターンがかかる。そうなると2年目のリターンは12万千円になり、それを繰り返すと、3年目は13万3千円、4年目は14万6千円、5年目は16万円、6年目は17万7千円、7年目には19万4千円とほぼ2倍になっている。これがPoC
の意味だ。


では、アップル株の配当にそのPoCを当てはめてみよう。先ほども言った通り、間違いなくアップルは二桁台の配当増配率になるだろう。しかし、アップルは新しい製品への開発費が必要になるし、それにともない人件費も高くなる。また、自社株買いを一段と進める可能性がある。それらを含めると、15%から20%の増配率増と考えるのが妥当だろう。しかしながら、いくら莫大な資金を持っているアップルでも、毎年15%の増配率増などの予想は難しい。いつかはまた成長も鈍化することになるし、とくにテクノロジー・セクターに属するアップルに配当を重視して欲しくない考える投資家も少なくないだろう。

Pictureアップルの毎4四半期の配当額と、毎年10%の配当増を仮定した場合の配当額(2015年以降、青色)。
そこで、毎年平均して10%の増配率増をアップルが行うと仮定してPoCを考えてみよう。2013年、アップルは1.70ドルの配当金を投資家に払った。2014年度は1.85ドルである。そして、今年から毎年平均して10%の配当率増をアップルが行ったとする。もちろん、先ほども言った通り、7年後にはその配当額は2倍になっている。表を見ていただくとわかるように、2013年の1.70ドルだったのに対して、7年後の2020年には約2倍の3.28ドルになっている。もちろん配当金額が2倍になっているだけで、実際のアップル株のパフォーマンスはどうなっているか分からない。しかし、株価が上がっていれば、株と配当の両方から利益を得ることができる。

しかし、いちいち複利計算をするのが面倒だと考える人がほとんどだろう。そこで、簡単にそれを答えてくれるのが「72の法則」だ。この法則は、72に成長率や利子率で割ってみると、何年後に資産が2倍になっているかを答えてくれる。割り算をするだけなので、とても便利で簡単だ。先ほどのアップルの10%の配当率増を例にとってみると、72/10=7.2で「7.2年」後に配当額が2倍になっていることがわかる。ちなみに、いま三菱東京UFJ銀行に10万円預けると、年率で0.02%のリターンになり、これを72の法則に当てはめると3,600年後に2倍の20万円となる。もちろん毎年0.02%の低利子率が続くわけでもないが、それでも日本は過去10年以上に至って0%台だったのを考えると株式投資の重要性もわかってくる。

ちなみにアメリカでは年平均10%以上の配当増を行っている銘柄も少なくない。日本と違ってアメリカでは優待制度などはないので、投資家への還元は配当が中心になる。近年では配当を大切だと考えるようになった企業も少なくなく、2012年にアップルが配当を開始したのもその一例だ。アメリカ・マクドナルド(NYSE: MCD)も過去5年で平均10%近くの配当増を行ってきた。航空機メーカー・ボーイング(NYSE: BA)は先月から25%増の配当を払い始め(ちなみに2014年の2月からは前年に比べて49%の配当増)、過去5年平均で13%増となる。2010年から配当を開始した日本でもコーヒーで知られているスターバックス(NASDAQ: SBUX)は、毎年20%以上の配当額増を行っている。

このような銘柄がポートフォリオに入っていれば、毎年の配当増によるPoCを利用することができる。配当額増を毎年続けることができる企業はバランスシートも強く、安定した利益を得ている証拠にもなる。そのような銘柄は株価の下落にも強く、もし下がったとしてもその間は配当によってサポートされる。また、配当パターンは株価の動きよりも予想しやすいので、将来の株式投資から得る収益がある程度わかる。そして、企業がどれだけ配当を出しているかより、どれだけ配当額が毎年増えていくかが重要だということを理解しているかが重要だ。それがPoC
のマジックを株式投資に生かす第一歩になる。



Economics Universe及びこの記事はアメリカ投資、または投資全般についてのアイデアであり、個々の株式銘柄を推奨しているわけではありません。株式投資は自分自身にあったリスクを考えて、自身の意思で売買してください。またEconomics Universeでは日本語で記載がない場合は英語での注釈が優先されます。Investing contains risks. Please consider risks of investing when investing. Economics Universe is not responsible in any loss of your investment.

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