上海・人民広場:週末の婚活イベント Part 2
2015年3月8日
Akira Kondo
昨年の夏に「上海・人民広場:婚活イベント」の記事を掲載して以来、その記事はEconomics Universeの一番人気のサイトになった。読者の中には中国の結婚と経済(お金)のつながりがどれだけ重要か驚いた方も多いだろう。さて、その上海・人民広場だが、いま一段と凄くなっているのはご存知だろうが?それは最近上海のローカルニュースでも大きな話題になっている。毎週末に行われる婚活イベントだが、その参加者が大幅に増えていることだ。その人の多さを見てみると、どれだけ中国で結婚に対する重要さが実感できる。今回は前回の記事を参考にして、2015年の中国婚活イベントを考えてみたい。
人民広場は上海・浦西地区にある繁華街の中心に位置し、周りには多くのデパートや高級ホテルが林立している一等地だ。また、昔ながらの建物が立ち並び、歩いていると情緒豊かな雰囲気を感じる人も少なくないだろう。また、人民広場には地下鉄3路線が乗り入れ、朝夕は乗り換え客なのでいつも溢れかえっている。駅から直結しているラッフルズデパートや歩行者天国の南京东路は多くの若者で賑わっていて、まさかそのすぐそばで婚活イベントが行われていると思っている人は少ないだろう。 さて、その婚活イベント会場(会場といっても公園だが)の入り口に向かってみると、すでに多くの人でいっぱいになっている。去年の夏に比べて明らかに違うのは、その人の多さだ。また傘が延々に並べてあり、その距離は前回の比にならないほどの長さになっていた。もちろんその傘の上には紙が貼ってあり、未婚の男女の情報が表示されている。前回の記事で説明した通り、紙には身長や収入などの多くのプライベートな情報が書いてあり、また以前と比べると一段と内容がクリエイティブに見えるのは気のせいだろうか。 よく目に入るのが、「留学」、「CFA」などが書いてある紙で、そして「海外組婚活コーナー」などにも多くの人が集まっていることだ。もちろん前回の婚活イベントを見に来てから約半年しか経っていないが、今回はグローバル化をもっと感じさせられる。近年中国、特に富裕層の多い大都市上海では、海外へ留学する学生が大幅に増えていて、それに伴い留学情報は未婚の男女の価値を高める効果があるのだろう。もちろん中国では留学経験によっていい仕事に就けるチャンスも高まり、婚活においては安定した収入とその留学経験がプラスに働くことになる。
なにより、婚活イベントに参加しているのは未婚の男女をもつ両親や祖父母がほとんどで、留学などの他の人にない情報が記載できることに優越感を持っているにちがいない。中国では、親は息子、娘の自慢話しを周りの人にするのが楽しみで、とにかく他の子よりも立派だということを少しでも伝えたい。特に親戚間でもその話は話題になり、例えば親戚一同が集まる旧正月は未婚の息子、娘の話が一日中続く。もちろん彼らにとって迷惑な話だが。また、ほとんどの人口が大都市以外からの労働者の中国にとって、旧正月は内陸部の中規模都市や農村部に若者が一斉に帰省する時期になる。その実家に戻ってきたタイミングを見計らい、未婚の若者同士でお見合いをすることも多い。 留学経験以外では、「収入」、「職業」、「年齢」、「身長」などの情報が絶対に紙の上に記載されている。特に大事なのが、「上海户口」と「有房」で、前者は上海出身の戸籍保持者、後者が家(一般に都会で土地をもつことができない中国では、家はほとんどの場合マンションの一室になる)を保有している意味になる。上海戸籍保持者の間では、結婚前に家を保有していない限りまず婚活のスタートラインに立つことは不可能だ。また、上海戸籍保持者で結婚を望む両親が多い為、特に上海の女性が上海以外の男性と結婚することは少ない。反対に、上海の男性が上海以外の女性と結婚に至るためには、その女性がいい職業について安定した収入を得ていないと難しい。 |
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最後に、この婚活イベントに参加しているのは、ほとんどが未婚の息子・娘を持つ両親や祖父母たちだ。正直、彼女たちは両親が人民広場で自分たちの婚活をしているなんて全く知らないだろう。勝手に身長や学歴、収入などを書かれて迷惑と思っているのがほとんどかもしれない。しかし親たちにとっては、20歳台で結婚をしない息子・娘たちは親不孝と考えていることも少なくない。先ほども言ったとおり、見た目が重要な中国では、娘が高学歴、高収入の身長の高い男性と結婚したらその両親は親戚感や職場で鼻が高い。できるだけお互いに好条件をマッチさせることが彼らの仕事だろう。また、実際に親同士が話すことによって、将来の親戚になり得るお互いの家族を知ることができ、 彼らにとっても重要なイベントになる。
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