小米(シャオミ):中国で人気のスマートフォン
2015年3月6日
Akira Kondo
いま中国で話題のスマートフォンが、日本でもニュースで耳に入るようになった小米(Xiaomi Corp.)だ。高価格帯のアップルiPhoneに比べると半額以下で購入できるので、中国人の平均月収7〜8万円(2013年の一人当たりGDPは約$6,800、The World Bank )でもスマートフォンが手に入るようになった。それでも、月収の半分はその購入費に当たるので、スマートフォンそのものは中国では高価格商品になる。しかし、中間層が増え続ける中国では、やはり憧れのスマートフォンはアップルのiPhoneになる。とくに裕福な人が多く、中間層を抜け出そうとしている人が増えている上海ではiPhoneユーザーの方が多いのではないかもしれない(もちろん実際はiPhoneユーザー以外が多い)。それに、iPhoneを手に持っていること自体が一つのステータスになっている中国、とくに上海では、月収以上のお金を払ってでも購入する人が多い。もちろん人気は、iPhone 6 Plusのゴールドだ。では、中国での小米の狙いはどこにあるのか?
格差のギャプが大きい中国では中間層も増えているが、その反対にその層に入っていけない人も少なくない。実際、中間層の人でも高額なiPhoneを購入するには抵抗感もある。それでも、スマートフォンはいま中国社会では必須アイテムになり、スマートフォン以外の電話を見つけること自体が難しい。とくに若者の間では、スマートフォンアプリの微信(WeChat、日本版のLineに、FacebookのそうなSNSの機能がついたアプリ)が友人や人との連絡に欠かせない。また若者だけでなく、彼らの親世代も使用している人が多いのが現状だ。 そこでスマートフォンがすぐにでも欲しい人のためにあるのが小米だ。以前はサムスンのスマートフォンがアップルのiPhoneより安く購入できて人気があったが、いまはそのマーケットが変わりつつある。中国製でデザインも悪くなく、価格が手頃な小米は多くの中間層やそれ以下の消費者を囲むことに成功した。最新の小米Mi4(5インチスクリーン、16GB)は2,500元(日本円で約4万8千円)で購入できる。ちなみに中国でのiPhone 6(4.7インチスクリーン、16GB)は5,288元(日本円で約10万円)で、そのMi4より2倍以上高い。小米のデザインは、iPhone 5とサムスンのGalaxy S5を足して2で割ったような感じだ。 |
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小米の創設者・CEO、Lei Junは意外に有名だ。というのも、彼が最新の商品を発表するときのセットアップがアップルの新商品発表とそっくりで、その創設者自身の服装や身振り手振りが故スティーブ・ジョブスを真似ているということだ。あの、ジョブス氏の代名詞である「One more thing…」を、小米の創設者も真似ている。小米創設者の商品発表時の服装も、ジーンズに黒のTシャツで、ジョブス氏に似ている。もちろん、サムスンのGalaxy Note 4と間違えるようなRedmi Note 4Gという5.5インチスクリーンのスマートフォンも販売している。これだけアップルとサムスン製品に似ていてある程度の性能があれば、価格さえ安ければスマートフォンを購入しようとしている消費者は喜ぶだろう。
小米のウェブサイト:http://www.mi.com/en/index.html Googleで「Xiaomi CEO」と検索してみてみると、たくさんのアップルに似た写真が出てくるので、ぜひ見てみてほしい。 しかし、小米を購入しようとしている消費者はもちろんアップルのiPhoneのことは知っている。上海のようなグローバルな大都市ではiPhoneユーザーがほとんどで、それ以外の都市ではiPhone以外のユーザーが多い。例えば、長沙の地下鉄車内ではあまりiPhoneユーザーを見かけないが、上海の地下鉄車内ではiPhoneユーザーが圧倒的に多いのが現状だ。中間層、またはそれ以下の人が多い大都市以外ではiPhoneの購入は憧れのままで、収入を考えるとなかなか手に入れることは難しい。 もし中国経済が消費大国への構造変化に成功し、中間層の拡大が一段と広がれば、間違いなく小米ユーザーはアップルブランドに乗り移るだろう。それまでは、小米が間違いなく中国でのスマートフォンマーケットを広げてくれるだろうし、アップルにとってもそれが好都合かもしれない。いろいろな商品には低価格から高価格帯があるように、アップルと小米はスマートフォンマーケットでうまく共存し続けるだろうし、これからの中国のスマートフォンから見る経済発展が楽しみだ。 |
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