中国版新幹線:G1371 上海虹桥-娄底南
2015年3月3日
Akira Kondo
中国国内は旧正月になると人々の移動で忙しくなる。もちろん13億人の人口を抱える中国は、日本の正月移動の規模の比ではなく、度々テレビや新聞のニュースを賑わすほどだ。そしてたまたま旧正月に中国版新幹線に乗ることになり(飛行機が満席のためチケットが取れなかったため)、中国内陸部にある湖南省「娄底南」駅を目指すことになった。その地域は高速鉄道(中国版新幹線)の建設が続いており、数年以内に同省の小規模都市「邵阳」につながる予定だ。高速鉄道のネットワークがどんどん広がっていく中国では、こうした小規模都市でも駅の周辺には20階以上の高層マンションの建設がものすごい勢いで行われている。それだけ高速鉄道の発展は中国経済の下支えになっているのもうなずける。
では、その高速鉄道だが、いま中国では2世代目の中国版新幹線が活躍している。よく日本のニュースに出てくるのは「和谐号」で、ハーモニーを意味する。チケットを購入すると、電車番号の前に「D」か「G」が付き、前者は「动车(動車)」を意味し時速200キロ前後で走行し、後者は「高铁(高鉄)」を指し約300キロで走行する。今回、私が乗車したのは電車番号が「G」から始まる「高铁(高鉄)」で、上海「虹桥」駅からその娄底南駅までの6時間を体験した。 現在高速鉄道のチケットはインターネット上(英語のサードパーティーウェブ)で簡単に購入できるようになっているが、やはり日本人にとっては駅で直接購入するのが楽かもしれない。しかし、旧正月のような長期休暇にチケットを購入するのは難しいので避けたほうが賢明だ。また、外国人のチケット購入にはパスポートが必要になるので気をつけたい。また、セキュリティチェックやチケットとパスポートの確認が搭乗前にあるので、駅には最低でも30分前には着いておきたい。 G1371 上海虹桥-娄底南
さて、その中国版新幹線の中だが、日本人が思っているより快適かもしれない。必ず目を引くのが、木目調の壁でデコレートされたエントランスだ。そして、すぐ気付くのがトイレの半円形ドアだろう。トイレが各車両にあり、また身体障害者用のトイレは車椅子が十分入るほど広い。座席はどうだろう?日本の新幹線の座席に比べると幅が少し狭く感じ、前後の間隔も狭いが、それでも長時間でも乗っていられる快適さだ。その座席配置は2−3のアブレストで日本と同じだ。また、高铁(以下、Gトレイン)は一等車とビジネスクラスを設けており、飛行機並みに快適に移動できる。距離にもよるが、一等車なら100−200元程度の加算で乗車できる。ビジネスクラスは一等車の値段の2倍と割高になるが、国際線飛行機のビジネスクラスと同じぐらい快適だ。 他に日本の新幹線に以前あった食堂車があるのが嬉しい。1車両まるごとダイニングカーなので、そこで中国の広大な景色を眺めながら食事をするのもいいかもしれない。食事もそこでオーダーすれば、温めた後に座席まで運んでくれる。ほとんどのメニューが中華だが、洋食のスパゲッティなどもある。よく中国人の乗客がするのが、乗車前にカップヌードルを購入し、車内でお湯を入れて食べることだ。割安だし、持ち運びも簡単で、お湯の蛇口がかならず車内にあるのでそこで簡単に作れる。そして、お茶を飲む文化の中国にとってこのお湯のでる蛇口はとても大切だ。
車内のサービスも思っているほど悪くはなく、良いと言ったほうがいいかもれない。乗務員の制服もモダンで、また必ず各車両に一人はいるので、通過駅の名前や到着時刻などを聞いてみるのもいいかもしれない。日本の新幹線では、カートで飲食類を販売している乗務員がほとんどなので、会話もまずないだろう。5時間以上の乗車になると、乗務員も顔を覚えてくれるようになる。中国国内線の飛行機よりは間違いなくサービスから快適さまで上回っているだろう。 その6時間の乗車時間だが、旅行や年に数回乗るぐらいなら、長い時間乗っていてもあまり苦にはならないだろう。景色を見たり、食事をしたり、本を読んだりと意外と時間も早く過ぎていく。ちなみに6時間のような長距離でも、ずっと走り続けているわけではない。時速300キロ以上で運転しているが、意外にいろいろな駅に停車する。今回も上海から娄底南までの間に10駅以上停車した。しかし、日本で言う「こだま」とは違うだろう。大陸内の距離が格段に広い中国では、名古屋から京都のような区間を何回も続けて走っているようなものだ。各駅には数分ほど停車するので、ドアから一歩出て写真を撮ったり、外の風に当たるぐらいはできる。 |
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各駅に止まって感じるのは、よっぽどの小さな町の駅でない限り、ほぼ全ての駅が5つ以上のプラットホームが連なっており(また大きな駅では10以上のプラットホームが連なり)、その駅の規模に圧倒されるだろう。まず国土の狭い日本では絶対に見ることのない光景だ。中国の新幹線は日本のように東京を中心に横断しているのではなく、各都市を縦横無尽に繋がるように結ばれているので、乗り換えなどの必要も少ない。例えば小規模都市の娄底南駅からも上海、北京、深圳、広州に乗り換えなしで行ける。旅行者にもとても便利だ。
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