1,000ドルから始めるアメリカ株式投資 (2):
2,000ドルの資金があったらどのようなアメリカ株を買うべきか?
5,000ドルの資金があったらどのようなポートフォリオを構成できるか?
10,000ドル以上の資金があったらどのようなポートフォリオを構成できるか?
2015年1月24日
Akira Kondo
2,000ドルの資金があったらどのようなアメリカ株を買うべきか?
もし、2,000ドルの資金があるなら、その時点で分散投資を始めることができる。分散投資とは、違うセクターの株を保有することによって投資リスクを下げることを言う。例えば、テクノロジーのAppleを1,000ドルで購入することにする。そして、次に選ぶのはテクノロジー以外の株にしないと行けない。株式はセクターごとに動くのが基本となっている。最近の原油価格の下落によって、エナジー関連の株価は暴落している。昨年アメリカのオフショア原油発掘企業、Ensco (NYSE: ESV)、Weatherford (NYSE: WFT)、Transocean (NYSE: RIG)のすべての株価が47%、63%、25%ずつ下落した。もし2,000ドルすべての資金をエナジー株2社に投資していたら、50%以上下落していたかもしれない。ちなみに、2,000ドルの資金が50%下落したら、1,000ドルの損失で、また2,000ドルに戻るには100%上昇が必要になる。 そのようにならないためにも2つ目の株は、1つ目の株とは違うセクターを選ばないといけない。もし1つ目にテクノロジー関連の株を選んだら、次に選ぶのはあまり経済に影響を受けない株を選ぶといい。テクノロジー株は景気に左右され、また株価の変動も大きい。では、その景気にあまり左右されない株は何か?例えば、Head & Shouldersのシャンプーで有名なProctor & Gamble (NYSE: PG)はディフェンシブな株だ。景気が悪くても、人はシャンプーを使うのであまり業績に影響を与えない。また、年間を通して企業は安定した収益を上げることができるので、配当率も2.8%と高い。この株を保有することによって、もしテクノロジー株が下がっても、全体では下落率を和らげてくれるので、安定したポートフォリオになる。 5,000ドルの資金があったらどのようなポートフォリオを構成できるか?
5,000ドルの資金があると、1,000ドルずつ投資したとして、5つの企業の株を保有することができる。分散投資が発揮できる「ポートフォリオ構成」もこのあたりからだ。5社の株を保有することによって、2社のみのポートフォリオよりリスクが格段に下がる。例えば、AppleとProctor & Gambleをすでに保有していたとしたら、次に選ぶのはテクノロジー関連以外が言いだろう。P&Gのようなディフェンシブな株は、もしリスク嫌いな人ならたくさん保有していても構わない。では、もう一つのディフェンシブとしてヘルスケア関連のセクターから選んでみよう。 バンドエイド、コンタクトレンズ、解熱剤のタイレノールを製造するJohnson & Johnson (NYSE: JNJ)はどうだろう? J&Jの商品は日本のスーパーや薬局でよく見かけ、日本人にもなじみ深い。そして、P&Gと同様にこれもあまり景気に左右されない株だ。また、年率で2.8%の配当率も魅力的だ。 4つ目の株は、金融関連を選んでみよう。まず景気の回復によって金融関連の株が上がる。アメリカの連邦準備銀行は今年には政策金利(3ヶ月短期金利)を上げる可能性を示唆している。金利が上がるといることは、銀行が企業や人に貸し出すお金のローン率が上がるということなので、金融関連企業の利益が上がることになる。もちろん貸し出し金利が上がることは、それに対しての需要が減ることも考えられるが、緩やかな金利上昇は市場に好影響をあたえる。さてその金融関連株だが、世界の金融マーケットをリードするアメリカにはたくさんの優良株がある。例えば投資銀行のトップを走るGoldman Sachs (NYSE: GS)、日本ではあまり知られていないがニューヨークではなくサンフランシスコを本社に置くWells Fargo (NYSE: WFC)、世界のビジネストラベラーに人気のAmerican Express (NYSE: AMP)などがある。 その中から4つ目の銘柄にWells Fargoを選んでみよう。この会社はゴールドラッシュに湧いた1852年に設立され、馬車でビジネスメールを送ったポニーエクスプレスは有名だ。ちなみにそれが今現在に至ってWells Fargoのロゴになっている。さて、その銘柄だが、2009年の金融危機も乗り越えアメリカの銀行の中でもとても優れたバランスシートを持っている。もちろん他にもたくさん魅力的な銀行株もあるが、年率2.7%の配当を得ることができるこのWells Fargoにしてみよう。 配当金についてだが、一般的に3%以上の配当率は高配当と考える。ちなみに、S&P500に含まれる500社の平均配当率は1.93%なので、Wells Fargoの2.7%やJ&JとP&Gの2.8%も高配当と考えていい。もし、その3社をそれぞれ1,000ドルずつ1年間保有していたら、83ドルの配当金を得ることができる。参考に一般的な日本の銀行のスーパー定期1年の金利が0.025%なので、もし30万円をそれに投資したら一年で75円を得ることができる。リスクは違うが、アメリカ株式に投資するか、100%安全なスーパー定期に投資するかは自分次第だ。
5つ目の銘柄は何にすべきか?テクノロジー、デフェンシブ、フィナンシャル以外で自分の好きな銘柄を選んでみたらどうだろうか?もし私ならスターバックスに毎日行くのが日課なので、その銘柄を選ぶだろう。工事現場に興味のある人ならCATロゴが付いた黄色い重機のCaterpillar (NYSE: CAT)でもいいし、映画「アナと雪の女王(Frozen)」が好きなら、Disney(NYSE: DIS)を選んでもいいだろう。一つ言えるのが、アメリカにはたくさんの銘柄があるので探すのが大変だが、まずはアメリカ優良企業からなるS&P 500の中から探してみてはいかがだろうか? もし、10,000ドル以上の資金があったらどのようなポートフォリオを構成できるか?
10,000ドルの資金があるなら1,000ドルずつ10銘柄を保有してもいいし、または2,000ドルずつ5銘柄を保有してもいい。もし、15,000ドルの資金があれば、1,000ドルずつで15銘柄保有してもいいかもしれない。ただ、重要になるのは同じセクターが重ならないようにポートフォリオを構成することが必要になる。いくらたくさんの資金があって、たくさんの銘柄がポートフォリオに入っていても、同じセクターの株がたくさん入っていたら分散投資の意味がない。初めて投資を始めて、10,000ドルを一つの銘柄に投資して、50%のロス、または5,000ドルの損益を上げる人も少なくない。その5,000ドルを得るためには、最低でも数ヶ月以上の給料からの節約が必要になる。または、100%の株価上昇が必要になるが、そのチャンスはごくわずかだし、買った株価に戻るには長い時間が必要になるだろう。 最後に銘柄の保有数だが、15銘柄以上は保有しない方がいいだろう。20,000ドル以下の投資資金なら10銘柄ほどが適切だ。というのも、たくさんの銘柄を保有しすぎてポートフォリオの管理が難しくなるし、売買に手数料がかかる。正直気づかずに年間で500ドル以上の手数料を払うことも少なくない。分散投資には余分な手数料もかかるが、5〜10銘柄と先に決めておけばある程度の手数料のみですむ。 アメリカ著名投資家でCNBC「Mad Money」のホストを勤めるジム クレイマー (Jim Cramer)は(「ジム クレイマー:アメリカ人気投資家の投資術」を参考)、1銘柄につき毎週1時間の勉強が必要だと言う。もし10銘柄を保有していたら、毎週10時間の勉強が必要になる。株式を保有することは、その企業の一部を保有することになる。株式を買う前に、いったいその企業がどのようなビジネスをしていて、どのような商品を市場に出して、どれだけの収益を上げているかを知っておくことが重要だ。そしてその株を買った後も、毎週の株価の動きをチェックして、ニュースを読むことが投資家としての仕事になる。 <前のページへ> |
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Economics Universe及びこの記事はアメリカ投資、または投資全般についてのアイデアであり、個々の株式銘柄を推奨しているわけではありません。株式投資は自分自身にあったリスクを考えて、自身の意思で売買してください。またEconomics Universeでは日本語で記載がない場合は英語での注釈が優先されます。
Investing contains risks. Please consider risks of investing when investing. Economics Universe is not responsible in any loss of your investment.
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