ブルーボトルコーヒー:日本で広がる外資系コーヒー人気
2015年6月9日
Akira Kondo
![]() 東京の一等地に進出してニュースで賑わすようになった、アメリカ発祥のBlue Bottle Coffee(ブルーボトルコーヒー)。現在東京に2店舗あるが、アメリカ以外では日本のみの出店となっている。その巷で騒がれる「サードウェーブコーヒー」文化を広めているブルーボトルコーヒーは、まだアメリカ国内でも17店舗しかない。実際アメリカ国内でもブルーボトルコーヒーの店舗が存在するのは、カリフォルニアとニューヨークのみだ。では、なぜそこまでこのブルーボトルコーヒーが人気を集めているのか?
ブルーボトルコーヒーはカリフォルニア州サンフランシスコ対岸にあるオークランド発祥で、その近郊には名門カリフォルニア大学バークレー校もある。しかし、サンフランシスコやそのバークレー校には行ったことはあるけど、オークランドに行った人は少ないだろう。時折ガイドブックにもオークランドは「危険なので夜は決して外を歩かないこと」などと書いてあったりする。そのオークランドには現在2店舗があり、そのうちの1店が本社だ。 もちろん電車と徒歩で行くことはできるが、それならサンフランシスコ市内にある店舗に行くのがお勧めかもしれない。 筆者自身もこのオークランドに10年ほど住んでいたが、そのオークランドはどのような街なのか? サンフランシスコ市内からは電車(BART)で簡単にオークランド市街に行ける。そのBARTに乗って12th Street Oakland City Center駅を降りればもうオークランドのダウンタウンになる。駅を降りて地上にでるとすぐに大きな通りがあるが、そこがメインのブロードウェイで、そこから12th Streetを東に1ブロック歩くとFranklin Street、そしてもう1ブロック歩くとWebster Streetに着く。 チャイナタウンと言えばサンフランシスコを一番に思いつく人も多いが、このオークランドにも大きなチャイナタウンがある。
またデモが起きていなくても、発砲事件などが頻度に起きているので、夜間歩いての行動は絶対に避けたい。私自身もオークランド在住時には車でも夜間のオークランドダウンタウンに行くのを避けていたほどだ。ちなみに残念なことにオークランドは常に治安の悪い全米トップ10に入っている。
さて、そのFranklin Streetを南に進み、チャイナタウンを過ぎて高速道路の高架をくぐるとブルーボトルコーヒー本社が見えてくる。午後6時に閉店なので、もちろん夜中に周辺を歩くのは治安的にも注意したい。ブルーボトルコーヒーの特徴はメニューのシンプルさと開放感あふれる店舗だろう。そのシンプルなメニューには数えるほどのドリンクしかない。その中にいまニュースなので騒がれている「サードウェーブコーヒー」があり、注文を受けたコーヒーを一杯ずつドリップして提供してくれる。ブルーボトルが得意とする分野だ。もちろん使われるコーヒー豆も厳選されたもののみを使っている。しかし、実際日本人にとってはそれが当たり前のように思えるのではないか。筆者は東京に住んだことはないが、名古屋では個人経営する珈琲店がもてなすコーヒーはほとんどがドリップだ。どちらかというと、日本人とってはサードウェーブコーヒーとは、原点に戻ったことのように思えるだろう。 日本で1,000店舗以上展開するスターバックスは、スペシャルティーコーヒーで成功を収めた。コーヒーの苦手な若者にも、甘いキャラメルマキアートやフラプチーノなどいままでにないコーヒー派生商品を提供し人気を集め、それはすぐに世界中へと広まった。それを考えるとスターバックスとブルーボトルコーヒーはまったく違うコンセプトを抱いている。ブルーボトルコーヒーはもともと日本にあったコーヒー文化をアメリカで成功を収め、そして日本に戻ってきた感じだろう。ドリップコーヒーに慣れ浸しんでいる日本人にとっては、ブルーボトルのコーヒーはとても受け入れやすいに違いない。そしてブルーボトルコーヒーの店舗スタイルはとてもオープンで、いままで日本になかったコンセプトだ。その二つが重なったことが、今日までの日本の成功につながった一つの理由だろう。
ではブルーボトルはどのようなコーヒーを提供しているのか?もちろんドリップコーヒーは一つのメインドリンクだが、実際日本のカフェでも同じようなのが飲めそうな気がする。しかし是非試しておきたいのは、ニューオーリンズ・アイスコーヒーだろう。出来立てのコーヒーの香りと酸味、そしてミルクの甘みが一緒に凝縮されていてとても喉越しがいい。間違いなくブルーボトルのお勧めのドリンクだ。もちろん初めからミルクなどが入っていないブラックのシングル・オリジンもあるが、人それぞれの好みだろう。そして、一般的なカフェモカやカフェラテも試してみい。アートが綺麗に表面に映し出され、カップのずっしりとした重さがまた店内でゆっくりと過ごしたい時間を演出してくれる。 注文した後にブルーボトルではスターバックスと同じように、コーヒーが出来上がった時に名前で呼んでくれる(日本のスターバックスでは名前で呼び出されることはないが)。レジはとてもシンプルで、iPadが全てそのプロセスを行ってくれる。一度そのiPadに自身のEメールを登録してクレジットカードで決済すれば、次回からはカードをスワイプするだけで名前やレシートの送付先になるメールアドレスが記録されているので注文プロセスが簡単だ。またレジ周辺には値段の手ごろなペーストリーが並べられていて、コーヒーによく合うと思うので一緒に試してみるといいかもしれない。これらのプロセスはドアを開けて店内に入った時から始まるので、初めての人でも迷うことはないだろう。
ただし、ブルーボトルコーヒーの好き嫌いは個人のテイストによるだろう。私自身苦めのコーヒーは苦手で、まず砂糖とミルクなしにはコーヒーを飲むことはない。正直私にとってブルーボトルのカフェモカも チョコレートの甘味を感じないままコーヒーの苦味のみが喉を通っていく感じだ。アメリカ人もブラックで飲む人はそれほど多くないだろう。それを考えると、繊細で香りと苦味を望む日本人にとって、ブルーボトルのコーヒーは日本向きテイストなのかもしれない。そして、何より日本人、またはアジア人は、欧米の新しい文化を常に受け入れたい習慣があるので、ブルーボトルはスターバックス以来のモダニティーを実感できる格好の場所なのだろう。 そのブルーボトルコーヒーとスターバックスが一致するのは、両者とも日本が海外展開の一番初めの地となったことだ。ともに日本進出で多くの成功を得たに違いない。とくにこれまでのスターバックスの日本での成功は顕著だ。それだけ日本にはコーヒー文化が浸透していることだろう。しかし、ブルーボトルとスターバックスのテイストはまったく違う。日本ではあまり知られていないがサンフランシスコ・ベイエリアにはスターバックスの良きライバル、Peet’s Coffee & Tea(ピーツコーヒ)が存在する。ちなみにこのピーツコーヒーはオークランドのすぐ隣バークレーで創設され、本社はまたすぐ隣のEmeryville(エメリービル)にある。街中では必ず緑のスターバックスとブラウンのピーツコーヒーがオセロのように陣取っていて、ベイエリアではそのピーツコーヒーを好む人も多い。
ピーツコーヒーもスターバックスもともに「セカンドウェーブコーヒー」に当たる(正直「セカンドウェーブ」といってもわかりにくいのが筆者にとっての本音だ。実際、アメリカのスターバックスではザンビア産のコーヒー豆などを使って、一杯ずつドリップしたコーヒーも提供している。もちろん値段はブルーボトルのコーヒーと同じぐらい高い)。両者はスペシャルティーコーヒーで成功を収めて現在に至っているが、両者の違いは店舗に入ればすぐに実感できる。ピーツコーヒーの店舗には落ち着きがあり、客層は年配が多く(もちろん若者もいる)、コーヒーはリッチな香りがし苦味が強い。反対に、スターバックスは薄めで香りのいいコーヒーや甘めのカフェモカなどを提供しているので若者から年配まで多くの年齢層に好まれている。先ほどもいったように、人それぞれのテイストの違いによって、行きたいカフェが分かれるだろう。もちろんチョイスがあること消費者にとって嬉しいことだ。 そしてブルーボトルも新しいチョイスに加わるだろう。人それぞれには違ったテイストがあるので、一杯一杯の出来立てのコーヒーを提供してくれて、天井が高くオープンで明るいイメージのカフェが好きなら迷わずブルーボトルが選択の一つになるに違いない。苦めのコーヒーが好きでない人や冷たくて甘いフラプチーノを好む人は、スターバックスを選ぶだろう。そしてなによりアメリカで人気のスターバックスやブルーボトルが日本に進出してくれたおかげで 、たくさんのコーヒー
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