Tesla(NASDAQ: TSLA): テクノロジー満載のテスラ車、Made in USAの本領発揮!?
2017年3月21日
Akira Kondo
テスラ車の人気が世界で広がりを見せている。日本でも東京などのグローバル都市では時々その斬新な姿が見られるようになってきたが、それでもそのテスラ車をあまり気にとめる人は少ない。海の向こうのリベラルな雰囲気が漂い、多くの富裕層が集まるカリフォルニア州サンフランシスコでは、多くのテスラ車が高速道路や市内を走っているのを見かけるのが日常となっている。昨年発売されたばかりのSUVタイプのModel Xは、ファアルコンウイングの後部ドアとあって、そのドアの開閉を駐車場などで目にすると未来感すら感じる。その日本の隣、中国・上海でもテスラ車はいたるところで走っている。もともと富裕層の多い都市に加え、環境に良いEV車を求めるドライバーは格段に増えている。島国の日本では、やはり現地で生まれたトヨタやホンダなどのMade in Japanが消費者のベストチョイスとなっているが、テスラはひょっとしたらその日本の自動車マーケットに近い将来変化をもたらすかもしれない。
カリフォルニア州パロアルト(Palo Alto)に本拠を構えるテスラだが、まずアメリカ人で知らない人はいないだろう。その創業者、Elon Muskも有名で、Space XのCEO、そしてPayPalの創業者でもある。また、45歳と若く、今のテクノロジー発展に大きく貢献している人物といっていいだろう。なによりそのテスラ車のすごいところは、全モデルに搭載されているオートパイロットシステムだ。その名の通り、テスラ車は一定の条件を満たせば車が自動運転するのだ。そのようなテクノロジーがすでにテスラ車に搭載されているのだから、全自動運転の未来は近いといってもいいだろうし、もしElon Muskがいなかったら、その未来はもっと遠い未来となっていたに違いない。
現在のテスラのラインナップは、スポーツセダンタイプのModel SとSUVタイプのModel Xで、今年後半にはマスマーケット仕様で安価タイプのModel 3が発売される予定だ。安価のModel 3といっても、日本円で約400万円となる予定で、現在の日本人の所得を考えると誰もが簡単に購入できるような車ではないだろう。もちろん電気自動車なので、国からの購入に対する援助によって消費者の考えは変わるかもしれない。ちなみに、Model SとModel Xの値段は約1,000万円、またはそれを超える値段となるので、富裕層でモダン好きな消費者が興味を持つだろう。 日本人の消費者は最新のテクノロジーをすぐに試したいと思う人はいるだろうが、先ほども述べたように、やはりMade in Japan車や、昔からの高級車のイメージが高いメルセデスやBMWなどに人気が集まってしまう。
しかし、このような状況はアップルがiPhoneを発売した頃と似ているかもしれない。今では日本人のスマートフォン消費者の半数以上をiPhoneが占めると言われているが、その発売当初日本人消費者は見向きもしなかった。彼らは日本で生まれた携帯電話が一番使い慣れていると思うことに加え、海外の新しいテクノロジーを受け入れる準備に時間がかかった。しかし、ファッショナブルでモダンな海外製品に憧れる日本人なので 、誰かがその斬新なiPhoneを使っているのを見ると、すぐにその人気は周りに広がっていく。スマートフォン市場で人気を誇るアップルのiPhoneだが、それは莫大なテクノロジーが集結された製品であって、テスラ車もその一つと考えてもいいだろう。シリコンバレー生まれのテスラ車のテクノロジーは間違いなく世界トップを走っている。もともとテスラは、 たくさんのガソリンを点火して爆走するスポーツカーよりも、電気自動車でそれよりも早く走ることを考えて開発されたともされる。その夢はあっという間に実現され、今ではオートパイロットの技術革新へと向かい、また多くの消費者にテスラ車を楽しんでもらうよう安価なModel 3の開発が行われている。
(左)テスラ:生産台数と出荷台数(2016年)、(中)売上高(2015&2016年)、(右)純利益(2015&2016年)。テスラは今年前半に47,000から50,000台を出荷する予定で、アナリストの予想よりは少ない。しかし、前年同時期に比べれば65%増になる。売上高は順調に伸び、今年前半の売上も前年同時期を大幅に上回りそうだ。また、2018年はModel 3の売上も加わるので、売上高だけで見れば今後数年は大幅な上昇が期待できるだろう。その反対に、GAAPを基準とした純利益はまだまだ莫大な損益が続く。ビジネスサイクルの初期ステージとあって、Model 3の販売が波に乗るまで赤字経営は続く可能性が高い。| Source: Tesla
先ほども言ったように、日本では現在Made in Japan車が主流だが、その傾向は変わるかもしれない。日本人消費者は流行に敏感で、また昔と違い現金一括払いの文化などもなくなり、誰でも高価なものが購入できるようになってきた。Model 3は今までの高価なModel SやModel Xよりも半額以下で購入できると言われているので、iPhoneのように徐々に人気が広がり、一気に道路を埋め尽くすかもしれない。もちろん、そのようなことが実際に起きるのは難しいだろうが。そのテスラを追うようにテクノロジー大手、グーグル(NASDAQ: GOOGL)やアップルも自動運転を搭載した電気自動車が開発していると噂されている。そして今後間違いなくシリコンバレーが車産業に大きく関わっていくだろう。そうなるとトヨタや日本の車産業は大きな構造変化に直面することになるだろうし、新たな競争に巻き込まれることになるに違いない。今、日本の自動車産業の生産性は以前ほど強くなく、どちらかというと為替によって収益が変化する傾向が顕著に表れている。
アメリカではMade in USAがますます勢いを増している。そのテスラも本土での人気を後押しに、中国でも旋風を巻き起こそうとし、すでに中東ドバイにも進出する予定だ。隣の大国では、テスラストアーは中国の大都市を中心に拡散し、アップルストアーのようにモダン好きな消費者の人気の場所となっている。今後は、グーグルやアップルなど超優勝な人材を揃えた、キャッシュリッチな企業が攻勢をかけてくる。自動車産業はすでに「シリコンバレー VS 日本」の新たなテクノロジー競争が開始したと言ってもいいだろう。
*Economics Universe及びこの記事は投資全般についてのアイデアであり、個々の株式銘柄を推奨しているわけではありません。株式投資は自分自身にあったリスクを考えて、自身の意思で売買してください。またEconomics Universeでは日本語で記載がない場合は英語での注釈が優先されます。
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