堅調な米国市場、「Made in USA」に分散投資
2016年11月15日
Akira Kondo
このウェブサイトではアメリカ株を中心に多くの記事が書かれているが、それは将来の日本市場の予想が難しいためだ。加えて、筆者があまり日本市場の銘柄にあまり詳しくない理由もある。ただ以前の記事にも書かれているように、日本市場は海外の動向に左右されやすい傾向が高く、特に世界最大株式市場であるアメリカからのニュースはすぐに株価に反映されるのが日常だ。アメリカでは連邦準備銀行が政策金利の切り上げムードが高まり、年末に向けて市場は大きく変化する可能性が高い。その反対に日本の日銀は目標のインフレ率2%の達成が一段と難しくなっている。経済のバロメーターだけで見ると、アメリカ経済の方が健全に見えてくるに違いない。
株価は将来の価値であって、現在の価値ではないのは投資家なら誰もが知っていることだ。日本の経済を見ていると本当に将来は楽観的に見えてくるだろうか?昔、「Made in Japan」という言葉が世界を圧巻した。つい数十年前はソニーの音楽プレーヤーやシャープのテレビなどが世界中で普及していた頃だ。しかし、2000年以降になるとそれらの名前もあまりパッとしなくなってきた。
それらに変わり、2000年以降ではアメリカ、カリフォルニア州を中心に多くの日本車が高速道路を走るようになる。現地に新設された日本の自動車工場がフル稼働し、トヨタがGMを抜いてトップに躍り出たのもその頃だ。近年では、全米各都市にユニクロが展開するようになり、ニューヨーク5番街にはフラッグシップ店舗がオープンしたのも話題となった。そしてLINE(NYSE ADR: LN)が今年ニューヨーク市場に上場して世間を騒がしたニュースも真新しい。
2000年以降の日本企業の活躍を見ていると、少しは楽観的に見えるかもしれない。しかし、将来を考えてみるとあまりそう考えるのは難しい。日本のグローバル企業も間違いなくそう考えているだろう。それは、「Made in USA」が勢いを増しているからだ。2000年代前半にITバブルが崩壊を経験したアメリカ経済だが、それ以降に多くの巨大テクノロジー企業が誕生した。日本人のスマートフォンユーザーの半分以上が保有するiPhoneは、言わずと知れた現在世界時価総額トップのアップル(NASDAQ: AAPL)だ。ソニーの存在感が薄れていったのも間違いなくアップルブランドの復活にもよるだろう。
リベラルな雰囲気が漂うサンフランシスコ・ベイエリアのカフェで外を眺めていると、最近ではテスラ社(NASDAQ: TSLA)の電気自動車をよく見るようになった。一台10万ドル(約1千万円)はするModel Sは、カリフォルニア州ではもう当たり前のように走り、今ではSUVバージョンのModel Xもあちらこちらで走っている。フォード社(NYSE: F)が初の大衆車となるModel Tを発売してもうすぐで100年が経とうとするが、テスラも来年には電気自動車の大衆車となるModel 3の納車を開始する予定だ。そのテスラ車にはオートパイロットのシステムがインストールされており、その名の通り自動運転が可能になっている。IT企業大手アルファベット(NASDAQ: GOOGL)傘下のグーグルも自動運転技術を開発しており、Made in USAのテクノロジーはものすごい勢いで進化しており、まさに世界一の技術大国となった。
日本ではLINEが人気だが、アメリカではフェイスブック(NASDAQ: FB)とそのメッセンジャーが無料通信として使われている。筆者が初めてフェイスブックを使ったのが、アメリカの大学に在籍している2004年ごろで、当時はクラスメートと近況をシェアするぐらいで、フレンドリストには日本人はほとんどいなかった。現在では、ほとんどの日本人の若者はフェイスブックを使用しており、これも言わずと知れたアメリカのテクノロジーとブランド力が世界で通用している証拠だ。
日本国内でもMade in USAはどこでも見かけるようになった。今ではiPhoneはもとより、スターバックス(NASDAQ: SBUX)、アメリカンエクスプレス(NYSE: AXP)、ナイキ(NYSE: NKE)、グーグルなど多くのアメリカのモノやサービスが日本国内で消費されている。もちろん、iPhoneのようなモノが作られているのは中国だが、そのiPhoneの背面にしっかりと「Designed by Apple」とMade in USAを象徴するように書かれているのも目立つ。
グーグルもオートパイロットを搭載した車を開発している噂が流れているが、もしブランド力の高いテクノロジー企業が車を発売するとしたら、まずリベラルなカリフォルニアの消費者は最新のプリウスをそっちのけてすぐにその車の購入を考えるだろう。そしてその影響は、アメリカのモノやサービスに興味を持つようになった日本の消費者にも変化をもたらすことになるに違いない。今後10年で世界の車業界は大きく変化する可能性もある。日本の自動車産業は難しい局面を迎えるのは間違いないだろう。
経済全体を見渡してもアメリカ株式への投資は興味をそそるだろう。次期大統領に決まったドナルド・トランプ氏に対する期待や不安もあるが、まず今年12月にアメリカ連邦準備銀行が0.25%の政策金利の引き上げを実施する可能性が高い。そして、来年度は数回の金利の引き上げの可能性もあるだろう。安全資産として投資家から好まれている日本通貨だが、今後は不安要素が和らぐかぎりアメリカ・ドルが買われ日本円が売られる傾向になる可能性が高い。
もちろん、それは日本の輸出企業に対してはプラスに動くが、しかし前述したように例えばトヨタが今後車の販売台数を成長路線に載せるのはそう簡単ではないだろう。これからはテスラやグーグルなどアメリカ・テクノロジー企業がそのマーケットを騒がせる可能性が高い。それらの企業は日本の消費者が憧れるメルセデスやBMWなどの高級車とは違い、Made in USAのブランドがすでに確立し、安価で購入できるテスラ・Model 3などを提供する。もしトヨタのプリウスとテスラの斬新なModel 3が同じ値段だったら、日本人消費者はどちらを選ぶだろうか?答えはその時が来ないとわからないが、iPhoneが日本のスマートフォン・マーケットを圧巻したように、自動車業界もMade in USAが走り回る可能性だってある。
アメリカ人投資家にとっては、日本株を買うことは海外リスクとなるのでアメリカ企業のポジションを多く保有するのが一般的だ。日本人も全く同じで、海外の資産を持つことはリスクを伴うと考えている。その一番の理由は為替変動だが、もしこれから円安に向かう傾向がある、またはあまり円高に向かう傾向がないと感じれば、アメリカ株の購入は興味をそそるのではないだろうか?日本人のほぼ知っているアメリカ銘柄は世界最大のニューヨーク証券取引所、またはナスダックに上場している。そして、それらの上場銘柄は日本にいても売買できて、スマートフォンでオンライン証券を通していつでも簡単に取引できる。日本銘柄のみならず、「Made in USA」に分散投資してみてはいかがだろうか?
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