Tencent(テンセント):中国のWeChat人気に迫る(1/2)
Akira Kondo
2016年8月27日
中国で今一番使われているアプリをご存知だろうか?日本ではスマートフォンの普及で無料通信アプリ、LINEが多くの若者から中年層の間で使われるようになった。その用途のほとんどが、メッセージや写真を送ったりするのがほとんどだ。隣の大国、中国ではほぼ全てのスマートフォンユーザーが中国版LINE、「微信(中国名:Weixin、英語名:WeChat、以下WeChat)」を使用している。中国版LINEと書いたが、実際はLINEとWeChatは全く違うアプリの種類になるだろう。最近のニュースでは、よく中国版LINEのように中国版◯◯と表現される場合が多いが、WeChatはすでに世界規模での人気アプリだ。とくに中国国内では至れり尽くせり言っていいほど、絶対になくてはならないアプリになっている。さて、そのWeChatとは何なのか、そして何ができるのかを説明していきたい。
WeChatってなに?
2010年頃にQQというアプリを聞いたことはないだろうか?以前中国に行ったことがある人なら、周りにいるスマートフォンユーザーの機種から聴こえてくる「ピ・ピ・ピ」のサウンドでパッとくる方もいるだろう。QQは今のLINEやWeChatのように多機能的ではないが、その当時はメッセージアプリとして、スマートフォンユーザーの間で大ブームとなり、その「ピ・ピ・ピ」のサウンドはいたるところで聞こえるほどだった。そのQQで有名になったのが今のTencent(中国名:腾讯、日本語:テンセント)である。 そしてTencentは2011年にQQに代わるWeChatアプリを配信するようになる。もともとはQQやLINEと同じように、メッセージや写真を簡単に送るアプリとして使われたが、そのアプリに一緒に付属された「Moments(中国名:朋友圈)」の人気が広がっていった。MomentsはLINEのTimeline(タイムライン)やFacebook(フェイスブック)と似たようなソーシャルネットワークで、現在ではその機能を通じて情報を得るのが当たり前となっている。
LINE、Facebook、そしてWeChatのソーシャルネットワーク機能にはちょっとした違いもある。LINEで相手にメッセージを送ると、その相手側が見たときに「既読」のマークが付くが、WeChatのメッセージ機能にはそれはないのが特長だ。また世界中で使われているFacebookは友達からその友達など、知らない人までがコメントを書いたり読んだりできるが、WeChatでは常に知っている同士の友達までしかそれらを することができない。 ちなみに、そのMomentsが使われるようになる前は、中国版フェイスブック、「人人网(英語名:RenRen)」が中国本土で大きな人気を集めていた(フェイスブックは2009年頃までは、中国本土で使用できたが、それ以降は禁止されている)。しかし人人網も以前はほぼ全ての若者の間で使われていたが、今ではWeChatを中心に使うユーザーがほとんどとなり、存続の危機にまで来ている感じがする。それでも、1980年以降の人々が長年に渡って愛用していた人人網のアプリは、時々チェックできるように必ずWeChatアプリの隣に置いてあり、 今でも以前の人気を彷彿させる感じだ。 ただ、それらの機能だけならLINEやフェイスブックとあまり違いはないだろう。WeChatの人気はここからが本番といっていいかもしれない。中国では今年の旧正月に大人気となった機能がある。「红包(hong bao)」だ。日本でも正月にお年玉を子供にあげる習慣があるが、中国でも旧正月にお金を赤い封筒に入れてそれを子供たちにあげる習慣がある。それが紅包で、英語では「Red Envelop(レッド・エンベロップ)」と呼ばれる。その紅包は親から子供たちにあげるだけでなく、成人した子から両親や祖父母にあげる習慣もある。
Tencentはその紅包をWeChat上でアドレスに入っている親戚から友達まで誰にでも送れる機能が追加された。例えば、10元(約150円)を、10人の親戚のメンバーに送ることができる。その10元はアルゴリズムによって10人に分散されるが、一人一人が1元ずつもらえるわけでなく、ある一人が1.5元もらえたり、他の人が0.8元だったりと金額が分かれる。それが面白味を増して、今年の旧正月は大いにWeChat上で紅包の送り合いが盛り上がった。もちろん、本当の紅包も健在だ。さて、紅包はWeChat上でできる一つの機能だが、メッセージやMoments以外にも他に何ができるのか? <次のページ:WeChatでなにができる?>
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