アップル 2015年第4四半期業績発表:中国での売上99%増
2015年11月2日
Akira Kondo
27日、 アップルはニューヨーク市場終了後に2015年会計年度最後となる第4四半期決算を発表した。まず、2015年度の一株あたりの利益(EPS)は、 $9.22となり、アップル史上最高の結果となった。最新のiPhone 6/6S Plusが発売されてから1日がすぎた9月26日までの第4四半期の結果は、コンセンサス予想を11セント上回る1.96ドルとなり、こちらも第4四半期史上の最高値を記録した。7月—9月の純利益は前年同時期に比べ30%上回る111億ドル(円)、売上は22%上回る515億ドルとなった。注目されたiPhoneの第4四半期の売上はその時期の最高となる323億ドルで、販売台数も4,800万台に達した。今年4月から発売されたApple Watchの販売台数や売上などは公表されなかったが、第3四半期同様に「Other Products」のカテゴリーに含まれて発表された。そのApple WatchやApple TVなどを含むOther Productsは前年同時期に比べて61%増となった。今四半期も中国の売上が注目され、香港、台湾、マカオを含むGreater Chinaの売上高は99%となり、その地域全体でアップルの総売上の24%を占めた。また、テクノロジー企業の利益率を見極めるGross Marginは39.9%となった。全体的に見て、第4四半期はアップルにとってとても堅調な結果となり、クリスマスセールを迎える第1四半期に向けて良いスタートになったに違いない。
中国:増え続けるモダン好きな消費者の需要
今回の第4四半期も中国マーケットはアップルにとって大きな成長要因となった。もし中国での数字がなかったら、売上高の成長は一桁台になっていたかもしれないだろう。その中国全体(香港、台湾、マカオを含む)での売上は前年同時期に比べて99%の上昇となり、前回の第3四半期の112%増に続く大幅な成長率を記録した。また、アップルの全体に占める中国での売上は24%に達し、前年同時期の15%に比べて大幅な上昇となった(しかし今年のiPhoneの初期発売は中国も含まれていたので、その影響もあるだろう)。 この急激な中国でのiPhoneの売上はこれからも数年は続くことになるだろう。斬新なiPhoneは中国、特に大都市では絶対に持っていなければいけないアイテムになっている。特に見せびらかすことが大好きな上海人にとってはなおさらだ。そしてそのiPhoneやスターバックスはモダンアイテムといて完全に定着している。上海メトロ2号線に乗車してみると、その多くの乗客たちは最新のゴールドカラー、今ではローズゴールドのiPhoneを手にして、それらのカラフルな側面が車内のあちらこちらに輝いている。そのシーンは特に金融街の陆家嘴(Lujiazui)駅から上海人のベットタウン静安寺(Jing’an Temple)駅の間の車内でよく見られるだろう。そして、一段と高価なiPhone 6S Plusシリーズの方がよく目にするに違いない。<スターバックス・上海(英語)>
上海でのiPhone人気は間違いなく世界で一番だろうし、理にかなうのも当然だ。現在の上海の一人当たり所得は15,000米ドル(2014年、世界銀行データ)で、1カ月の給料で十分にiPhoneを購入できるレベルに達している。中国の経済が失速しているのは明らかだが、それでも6−7%台の成長が来年も続くだろうし、その間にも一人当たりの所得がそれぐらいのレートで伸びるだろう。もし来年以降6%の成長率になったとしても、2020年には一人当たりの所得は20,000米ドルに達するのは確実だ。
重要なことは、経済の失速が所得に与える影響はその 成長率の低下であって、所得そのものが減ることではない(ちなみに、日本のようにデフレ経済の中では実質賃金が減ることがある)。iPhone人気は確実に中国全土に広がっている。特に内陸都市の成都や重慶などはアップルにとって今後の成長が期待できるだろう。実際、それらの都市ではアップルストアーもすでに存在し、毎日多くの客で賑わっていており、iPhoneはもちろん人気アイテムだ。パンダで知られる四川省・成都の一人当たり所得は現在5,000米ドル(2014年、世界銀行データ)ではあるが、その成長率は内陸では突出している。また8,100万以上の人口を抱えており、今後の成長が大いに期待される。
iPhone, iPad, Apple Watch, and Mac
アップルは第4四半期に4,800万台のiPhoneを出荷し、前年同時期の3,900万台を上回った。今年のiPhoneは外見が同じで内面のみのアップグレードとなったが、中国での同時販売もあって堅調な結果をもたらした。その反面iPadの売上は2013年の第1四半期をピークに右肩下がりのままとなった。次回の第1四半期は新しく発売されたiPad Proも売上に加わるので注目だが、アナリストの間ではiPad全体の売上がどれだけ昨年同時期の結果に近づけるかが気になるところだ。 今年4月から発売されたApple WatchはApple TVやBeats商品などを含む「Other Product」のカテゴリーに属しているので、その売上高などははっきりとは見えてこない。しかし、ホリデーシーズンを迎えるアメリカでの今学期の売上は予想を上回るかもしれないし、また面白い結果になるに違いない。ちなみに、その「Other Product」カテゴリーはApple Watchがまだ発売されていない前年同時期から60%上昇している。
Mac製品はここ数年堅調な成長を続け、その売上は前年同時期から9%上昇した。実際にどの地域での販売が伸びているのかなどの情報は発表されていないが、これからの中国での販売がどうなるかが気になるところだ。現在の中国の大都市では高価でモダンなiPhoneは必須アイテムとなり、それがMacの売上にも世界最大のPCマーケットに広がるかがアップルの今後の成長にも繋がるだろう。また今年発売された新型のMacBookシリーズがどれだけ中国を含む世界中で販売されたかが気になるところだ。
EPSと今後
第4四半期EPS (Earning per share) は前年同時期から$0.11上昇の$1.96となり、その結果2015会計年度のEPSは過去最高の$9.22となった(2014年は$6.33)。アップルの収益成長は堅調に推移し、次回の第1四半期の業績も過去最高の四半期になる可能性が高い。特にホリデーシーズンにあたる10−12月はアップルにとって一番の売上を見込む時期にあたるので、Apple Watch、最新MacBook、そしてiPhone 6S/Plus が揃う第1四半期は大きな期待がかかる。もちろん、経済が減速する中国での売上は投資家やアナリストにとって一番の注目になる。今現在のコンセンサス予想は、前年第1四半期から6%増の1株あたり$3.25を期待している。その6%はあまり大きな成長には見えないが、前年のiPhone 6の爆発的な売上を考えると仕方ないかもしれない。 毎年iPhoneの売上ばかりが注目されるアップルだが、これからはMac製品も見逃せないだろう。Mac製品はiPhone人気が高まるにつれて、その売上も堅調に推移している。特にモダンな製品に憧れる中国大都市の消費者にとって、MacはiPhoneの次のターゲットになるかもしれない。そして、新型のMacBookは年末の売上に大きく寄与する可能性もある。ホリデーシーズンのApple Watchの売上は特に注目されるだろう。腕時計は今年のホリデーギフトに最適なアイテムになる可能性があり、アナリストの予想を大幅に上回る売上を記録するかもしれない。それら全てを考慮すると、第1四半期のアップルの一株あたりの利益は前年同時期の15%増の$3.51に達する可能性もある(もちろん、iPhoneやApple Watch、そして中国での売上の結果によるだろう)。iPhone 7の発表が近くなりアップルにまた成長の期待が現れ、もしPEが15にまで上昇したら、今後株価は$145に達する可能性があるかもしれない。
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