市場が下落傾向のときに保有したい「Defensive Stock」
2019年2月6日
Akira Kondo
「Defensive Stocks」、日本語に変換すると「防御型銘柄」と言ったところだろうか。昨年後半から世界の株式市場は急激な下落基調となり、ダウ工業指数は10月上旬の史上最高値から一気に5千ポイント以上も下落、それにつられ日経平均も年末にかけて20%以上も急落した。今年に入ってからは反発する局面が続いてはいるが、しかしこの先まだまだどうなるか不安な投資家も多いはずだ。アメリカでは株式市場が不安定になり、ボラチィリティーが大きくなったりすると「Defensive Stocks」が注目を浴びる。経済がどんなに悪くなっても、歯磨き粉や薬が売れなくなることは決してないだろう。例えば、洗剤のアリエールやカミソリのジレットで有名Procter &Gamble(NYSE: PG)は、市場が下落局面になっても株価は持ちこたえる傾向があり、いま現在の株価も市場最高値を目指しているところだ。今回はP&GのようなDefensive Stockを紹介したいと思う。
さて、皆が知っているP&Gだが、市場が大幅な下落傾向にある中、株価は堅調に推移している。それだけでもその銘柄を保有しているだけの価値はあるが、P&GのようなDefensiveな銘柄にはもう一つの利点がある。それは、配当利回りだ。Defensive Stockは配当利回りが高い傾向にあり、いま現在で2.97%となっている(2月1日時点)。アメリカ株は毎四半期に配当金を支払うのが一般的なので、市場が軟調な場合でもその間は配当金を得ることができる。業種は変わるが、医療品大手・Merck & Co., Inc. (NYSE: MRK)も軟調な相場の中で昨年12月に年度の最高値を記録し、現在では2.96%の利回りを保っている(2月1日時点)。
さらに、株価が下落しているが、それによって利回りが大きくなって魅力を増しているDefensive Stockも多い。例えば、こちらも皆が知っているペプシ・コーラのPepsiCo, Inc. (NYSE: PEP)は昨年11月下旬につけた最高値から10%ほど下落しているが、配当利回りは3.39%ととても魅力的だ(2月1日時点)。その直接的な競争相手となるCoca-Cola Company (NYSE: KO)も同じように下落しているが、利回りは3.24%となる(2月1日時点)。Haagen-Dazsアイスクリームやシリアルなどで有名なGeneral Mills, Inc. (NYSE: GIS)は、2年近く株価が下落傾向となり利回りは4.41%にも達しているが(2月1日時点)、35年以上も配当金を払い続けている優秀な企業だ。
アメリカ配当銘柄で忘れてならないのが通信大手のAT&T Inc. (NYSE: T)とVerizon Communications Inc. (NYSE: VZ)で、それぞれ6.79%、4.38%と高利回りとなっている(2月1日時点)。Defensiveな銘柄では他にも、McDonald’s (NYSE: MCD)、Walmart Inc.(NYSE: WMT)、Johnson & Johnson(NYSE: JNJ)、Pfizer Inc.(NYSE: PFE)などたくさんあり、ポートフォリオに入れる際の選択に迷うぐらいだろう。しかし、アメリカ株は1株単位から購入できるので、例えば千ドル単位に分けて複数のDefensive銘柄の保有も可能だ。何より、年4回に分けて支払われるアメリカ配当銘柄は市場が長期にわたって下落傾向の時には心強い(「たくさんあるアメリカ配当銘柄、NISA枠に入れてみよう!」「Dividend Stock、アメリカ株式市場でたくさん見つかる高配当銘柄」参照)。また、アメリカ銘柄はNISAでも保有でき、もちろん日本での税金は免除となる(しかし、アメリカ現地での税金10%は配当金に課税される)。
Defensive Stockは分散投資でも大変有効な戦術となる。このような銘柄がポートフォリオの50%でも占めていれば、市場下落局面でも持ちこたえることができ、さらに配当金を得ることができる。また、その得た配当金を使って大幅に下落した銘柄を買い増すことができるので、そのようなポートフォリオ・サイクルを常に考えると有効だ。最近では、「逆イールドカーブ」という言葉がニュースにもなっているが、そのような状況に陥る前にDefensive銘柄をポートフォリオに加えて市場に参加するのもいいだろう(「アメリカ株式投資する前に必ずチェックしたい、イールドカーブ」参照)。とくに、株価が下がっているDefensive Stockの購入はこれからでも遅くないのではないか?
Akira Kondo is long GIS, PEP, and PFE. |
アメリカ株式投資
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