アメリカ連邦準備銀行と金融政策目標(ページ1/3)
2015年9月15日
Akira Kondo
世界第1位の経済を操るアメリカ 連邦準備銀行(英語名:Federal Reserve Bank)をご存知だろうか?ちなみに経済界や金融機関の間では、「lender of the last resort(最後の貸し手)」と知られている。そのアメリカ連邦準備銀行は巨大な米国経済を隅々まで見渡し研究し、そして インフレや労働市場を中心に金融政策目標を達成することを目指す銀行だ。それだけ重要な銀行だが、エコノミストや金融学や経済学を大学で専攻している学生でない限りその名前を知っている人も少なくないだろう。しかし、もしかしたらアメリカに旅行、または出張中にその銀行を見たことがある人もいるに違いない。なぜなら、アメリカ準備銀行は本部となるワシントンD.C.以外にも、全米に12箇所存在するからだ。ちなみにその12箇所は、ニューヨーク、サンフランシスコ、シカゴ、ボストン、ダラス、セントルイス、カンザスシティ、ミネアポリス、リッチモンド、フィラデルフィア、クリーブランド、アトランタになる。その12箇所に加えて、現在の連邦準備銀行議長、ジャネット・イエレン(Janet Yellen)が務める連邦準備銀行本部がアメリカ首都ワシントンD.C.にある。
実際に普段の生活でアメリカ連邦準備銀行に立ち入る人はまずいないだろう。銀行は銀行だが、ATMやホームローン、そして旅行中などで必要となる両替などのサービスを提供するバンクオブアメリカやシティーバンクなどと違って、連邦準備銀行は一切そのようなサービスを提供しない。もしあなたがその連邦準備銀行に一歩でも踏み入れようとすると、すぐに警備員に捕まえられることになるだろう。しかし、実際あなたが旅行中などで使用しているアメリカドルは、その12の連邦準備銀行が印刷した紙幣なのだ。 アメリカ連邦準備銀行って何?
もしあなたが投資家や経済学者なら、日本経済新聞やブルームバーグなどを通してアメリカ連邦準備銀行という言葉を頻繁に目にするだろう。先ほども示したように、ワシントンD.C.の本部以外にも、連邦準備銀行はアメリカ全土12箇所に存在する(ニューヨーク、サンフランシスコ、シカゴ、ボストン、ダラス、セントルイス、カンザスシティ、ミネアポリス、リッチモンド、フィラデルフィア、クリーブランド、アトランタ)。その一つ一つの連邦準備銀行がそれぞれの管轄地域の経済活動を研究し、ワシントンD.C.本部に頻繁に報告している。 従ってワシントンD.C.にある連邦準備銀行が本部で、そこで現在のイエレン議長がアメリカ経済を日々操っている。ちなみに、アメリカ連邦準備銀行は世界中の投資家や経済学者から「Central Bank(中央銀行)」と呼ばれる。理由は様々だが、その一つとして一般の銀行とその中央銀行を簡単に言い分けるためだろう。例えば日本銀行、通称「日銀」は、世界の投資家や経済学者から「Central Bank of Japan(日本の中央銀行)」、または略して「BOJ(Bank of Japan)」と呼ばれる。中国の人民銀行はどうだろう?もちろん、「Central Bank of China(中国の中央銀行)」と呼ばれるのが一般的で、ブルームバーグの記事などでは「PBOC(People’s Bank of China)」と書かれたりしている。前アメリカ連邦準備銀行議長ベン・バーナンキ氏によると、「中央銀行は、近代的な金融システムの発達を誘導する手助けを行うとともに、経済政策の重大な役割を担っているとても重要な機関」と表現している。従ってアメリカ連邦準備銀行は、金融政策目標を通して経済を良い方向に誘導する機関だということだ。
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