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Life with Tesla
中国・上海で大人気のiPhone:なんで女性ばかりが持ってるの?
2016年9月24日
Akira Kondo
とにかくモダンなアイテムが大好きな上海人。大都市・上海を歩いているととにかく目にするのが最新のiPhoneを手に持っている若者たちだ。地下鉄2号線で金融街・陆家嘴(Lujiazui)駅から多くの上海人が住む静安寺(Jing’ansi)駅までの区間では、ほとんどの乗客がiPhoneと睨めっこをしている。とくにローズゴールドなどカラフルなiPhoneが人気なので、車内はそれらの色で輝いて見える。このような風景はまず上海でしか見ることができないだろう。
さてその人気のiPhoneだが、上海では女性の保有率が高いのはご存知だろうか?街中でiPhoneを使用している人たちを見てみると、とにかく女性が多いことにすぐ気付くだろう。もちろんモダンなアイテムが大好きな上海人だが、その中でも女性がそれに対しての欲求はとにかくすごい。上海の女性は男性よりもiPhoneやスターバックスなどのモダンなものが大好きで、それらを持っていないと上海人ではいられないぐらいの感情を持っている。
その反対に男性たちはあまりそれらのアイテムに関心がそれほどなく、ただそれらが高すぎると思っている人も少なくない。現在の上海の平均所得(2015年度)は10万元ほどで、日本円で155万円ほどになる。ちなみに高齢化社会の上海では、多くのホワイトカラーの若者たちがその平均所得以上を手にしているので、日本の若者の所得レベルとあまり変わらなくなってきている。また、多くの若い女性たちがホワイトカラーの職を得ているのも特徴だ。
(左)最新のiPhone 7が発売された翌日のアップルストアー南京東路店。多くの人が最新のiPhoneを試している。(右)上海地下鉄2号線の駅では、多くんお乗客たちは電車を待つ間iPhoneを使っている。
最新のiPhone 7が発売されてまだ間もないが、上海人が一番欲しがるだろう128GBのiPhone 7 Plusモデルは7,188元。約1ヶ月分の給料になるので、決して安くはない。しかし、それでも上海人は最新のiPhoneに興味を持ち、それを早く得ようとApple Storeに向かう。とにかくその新しいiPhoneを買って、職場やカフェでそれを他の人に見せびらかすのも上海特有の習慣だ。
もちろんその主役になるのが女性たちで、またその中でも上海生まれの女性たちはiPhone保有率がとにかく高い。そして、その中でも彼氏を持っているほとんどの女性はまずiPhoneを保有しているだろう。ここからがモダンなアイテム好きな上海人を超えた習慣が現れるからだ。その習慣が上海で多くの女性がiPhoneを保有している理由の一つになるだろう。
ほとんどの上海人の女性は、裕福な上海生まれの男性と結婚、または付き合う傾向がある。まず大都市以外出身の男性とは、付き合うことはあっても、結婚することはほぼありえない。その反対に上海生まれの男性たちは、他の省から出稼ぎに来た女性でも、その女性がホワイトカラーである程度裕福なら、付き合ったり将来結婚に至るケースも少なくない。実際、上海の男性たちはお金のかかる上海人の女性よりも、それらの女性を好む傾向もある。
(左)上海・金融街のアメリカ企業で働くホワイトカラーの女性たち。 彼女らは所得も高く、ファショナブルでもちろんiPhoneを使っている。(右)地下鉄車内で iPhoneを使って時間を過ごすのも、上海に住んでいる人たちの日課になっている。
その上海生まれの女性だが、とにかく付き合っている男性や旦那に最新のiPhoneをねだる習慣があり、何も言えない男性陣は買ってあげる場合がほとんどだ。今では、上海の女性たちはiPhoneすら買ってくれない男性とは絶対付き合うことはないと 強気になっている。もちろん、裕福なホワイトカラーの女性たちは自分でiPhoneを購入することもあるが、できれば男性に買ってもらいたい。なので、上海の男性陣たちは最新のiPhoneが発売される毎年9月は憂鬱な気持ちになることも少なくない。
筆者が上海の金融街で働いていた頃、同僚の20代前半の女性が街中で強盗に遭遇し、買ったばかりのiPhoneが盗まれる事件が起きた。その当時(2010年)、上海のホワイトカラーの年間所得は約7万元程度だったので、会社内のミーティングでも話題に上がり、多くの同僚が心配そうに聞いていたのをはっきりと覚えている。しかし翌日、そのiPhoneを盗まれた女性社員は笑顔で出勤してきた。どうやら女性の彼氏が同じiPhoneを買ってあげたらしく、そのiPhoneを手に持って社内を歩いていた。
また、上海に出稼ぎにきた女性陣たちも負けていない。やはりグローバル都市・上海で生きていくためにはiPhoneは必需品だ。とくに上海に出稼ぎにきてホワイトカラーとして成功した女性陣は、その思いはとても強い。湖南省の田舎町から上海の大学に入り、その後上海でアメリカ企業にて働く女性は、iPhone 4を購入して以来ずっとiPhoneを使い続けている。もちろん、付き合っている男性に買ってもらったものだ。
上海に住む多くの男性陣にとっては、iPhoneはあまりいい感情を持っていないかもしれない。実際、上海で女性と付き合っている、または結婚している男性は、iPhone以外のスマートフォンを持っている場合も少なくなく、それらの機種のほとんどが安価なHuawai(フアウェイ)やXiaomi(シャオミ)製だ。時々目にするのが、女性が最新のiPhoneを持っていて、その横で男性がHuawaiを使っているカップルの風景だ。間違いなくiPhoneは女性優先、男性は安価なスマートフォンといった図式になる。
(左)上海には毎日地方から多くの観光客が訪れる。とくに上海の近郊の杭州や蘇州からの観光客は、女性を中心にiPhoneが好まれている。(中)上海の地下鉄車内の様子。女性の乗客はiPhoneを使い、男性たちはそれ以外のスマートフォンを使っている。(右)地下鉄車内のカップル。女性はローズゴールドのiPhoneを使い、男性は安価なスマートフォンを使っている。
もちろん、最新のファッションやモダンなアイテムにあまり関心のない出稼ぎにくる男性が多い上海なので、中には本当にiPhoneに興味がない人も多いのも確かだ。上海(中国全土でも)では女性と結婚するには、その付き合っている男性が家を購入するという絶対条件が習慣となっている。とくに上海生まれの女性と結婚するには、男性は家を持っていることは当然で、よほど裕福でないと結婚相手として見てくれない。もちろん、上海出身の女性からすればiPhoneすら買ってくれない男性とはまず付き合うこともないだろう。
毎年 発売される最新のiPhone。上海住む男性にとっては頭の痛い話だが、女性たちは毎年新しいiPhoneのプレゼントを楽しみに待っている。そしてアップルにとっては上海の女性は最高のビジネスパートナーだろう。今までは、男性が結婚するためには家の購入が絶対条件だったが、それに加え最新のiPhoneの購入が上海で結婚に至るまでの新しい習慣となりそうだ。