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中国の旧正月に変化!? 帰省したくてもできない人たちが増えている?
2017年1月30日
Akira Kondo
今年も春節の時期がやってきた。その春節といえば中国の旧正月となる一年で最も賑やかな長期休暇で、中国からの訪日客が増えるのもこの期間となる。中国では人口の多くが沿岸部などの大都市などへの出稼ぎにいく労働者なので、旧正月の1週間前から内陸部への大移動が始まる。この時期になると航空券の価格が跳ね上がり、内陸部方面の鉄道やバスは満席状態となり、故郷へ帰りたい人たちにとってはチケットが希望の日程通りに購入できれば大満足だ。反対にチケットが購入できなかった人たちは、旧正月の以降の帰省となる。しかし、誰もが両親や祖父母がいる故郷へ帰省したいわけではない。もちろん彼らは故郷に帰省したいのだが、どうしても帰れない理由もあるのが現実だ。
今年の旧正月は1月28日。25から26日あたりが帰省のピークを迎え、除夕となる27日(chuxi、日本でいう大晦日)からは家族みんなで賑やかな正月を迎えるのが一般的だ。故郷にいる両親や祖父母たちは「饺子(jiaozi、餃子)」や「火锅(huoguo、すき焼き)」などを用意して息子や娘、そして孫たちの帰省を心待ちにしている。旧正月の翌日になると、故郷の近辺の親戚の家に訪問して雑談したり、カードゲームをしたり和気あいあいとしたムードが続く。その光景は日本の正月と全く変わらないだろう。故郷に帰る人たちのほとんどが出稼ぎの労働者となるので、都市部の慌ただしい環境から、生まれ育った農村部の静かな場所で家族や親戚たちとゆっくり過ごせるのは嬉しい限りだ。何より故郷の料理を楽しみにしている人たちも多いだろう。
しかし、帰省する全員がそのような旧正月を迎えられるわけではない。実際は帰りたくても帰れない人たちも多いのだ。例えば、30代を迎える彼女もいない独身男性は帰省をしたくてもできない。彼らは「一人っ子政策」の中で生まれた人たちで、両親や祖父母が育児から教養までたくさんのお金がつぎ込まれている。そのほとんどの人たちは高額な費用が必要となる沿岸部の大学に通って、そのまま大都市で働く人たちだ。そこまでして育てられた子供たちは両親からの期待が大きい。両親が思う理想としては、息子が北京や上海にある有名大学を卒業して、国有企業または外資系企業で高収入を得ることを望んでいる。もちろんそのような理想通りになる息子たちは少ないが、それでも大都市の大学に通い、ある程度の収入を得ていれば良いと思っている両親も少なくない。
その反対に、両親の期待に応えられない息子たちは、帰省をためらう人たちも少なくない。中国では両親や祖父母、その親戚から近隣の住民との繋がりが強く、またその間で息子や娘の自慢話がいつも行われている。もちろん帰省時期に当たる旧正月前ごろにはその話題で持ちきりだ。特に彼女もいなく独身の息子を持つ両親が親戚の息子が結婚して帰省する話を耳にすると、息子に帰省しなくてもいいと連絡するほどだ。また、その息子自身も帰省しづらいと思い孤独に静まり返った大都市で旧正月を迎えることになる。さらに独身で、思っているほどの所得を得られていない息子たちも多く、彼らにとっては故郷に帰りづらい。
旧正月には「红包(honbao)」というお年玉をあげる文化がある。特に大学を出て働き始めた息子たちは、両親や祖父母にその红包を渡さなければならなく、その中身の金額は中国でラッキーナンバーとなる600元、800元、またはそれ以上が基本だ。もちろん両親と祖父母がいれば4つ必要となるので、中国人の平均的な月収の半分、またはそれ以上の金額が红包に費やされることになる。そんな大金を払い、なおかつ故郷までの高額な交通料金を費やすぐらいなら、帰省したくないと思う人たちが多いのもうなずける。何より所得が少ない独身の男性が故郷に帰ってまで、肩身の狭い思いをするぐらいなら一人で旧正月を過ごすほうが気楽でいいだろう。
さらに彼氏のいない独身女性たちも旧正月は憂鬱な時期となる。中国では女性は25歳前後には結婚するのが当たり前で、特に農村部ではその傾向が顕著に現れる(しかし、上海では日本のように晩婚化が進んでいる)。20代後半になる独身女性陣のほとんどは、彼氏がいなければまず故郷には帰らないだろう。また、彼氏がいてもその彼が低収入で貧しい地域の出身だったら帰省をためらう場合がほとんどだ。しかし独身女性を持つ両親たちは、彼女らの故郷への帰省を心待ちにしている。なぜなら、旧正月の時期になると独身男性で溢れかえっている農村部では、両親がよりすぐりで選んだその男性たちとブラインドデートを計画しているからだ。仕方なく帰省した彼女たちは仕方なく、興味のない農村部出身の男性たちとブラインドデートをし、親戚の従兄弟たちの注目のまととなってしう。
30代を過ぎた独身の人たちは帰省をためらうのがほとんどで、彼らは大都市で結構な収入を得ているのを背景に、旧正月は海外旅行の予定を理由にして帰省を避けるパターンが増えている。ひょっとしたら独身の訪日中国人の割合が年々増えているかもしれない。最近では、独身女性たちのタイへの旅行が人気だ。彼女たちは独身女性間の友好を大切にし、そして旧正月の海外旅行を計画している。独身男性陣はモロッコやドバイなどへの旅行が人気だ。それらの国は昨年から中国人に対してビザ免除を開始し、男性陣には新しい旅行先となっている。以前は旧正月を使ってこのような海外旅行はそれほど多くなく、どうしても故郷に帰省しなくてはならない独身たちには、レンタル・ボーイフレンド、ガールフレンドをオンラインで注文する手段があり、話題にもなった。そこまでして、旧正月に故郷に帰らないといけない独身たちには旧正月はもはや一年で一番厄介な日であろう。今年もまた数々のドラマが生まれ、グローバルなニュースになるかもしれない。