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アメリカ雇用統計の見方
2014年2月13日
Akira Kondo

去年頃からアメリカ失業率が改善してきたというニュースをよき聞くようになってきた。実際データだけを見れば、2011年は9%、2012年は8%、そして去年2013年は7%台で、12月には6%台に入った(グラフ参照)。米国株式市場も失業率やその他の経済指標の改善によって2013年は約30%(S&P500)も上昇した。ちなみに2011年からの3年間で約45%の上昇になる。

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2013年アメリカ失業率 Source: U.S. Department of Labor


このようなデータの結果を見ると、失業率は結構よくなっているのではないかと思う。失業率は以下の公式で求められる。
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失業率は簡単に言えば失業者数が減れば下がる、増えれば上がる。それはニュースの画面で一番始めに出てくるのでなじみやすい。しかし経済が後退時期から立ち直っているときに特に注目したいのが、労働力人口。これは就業者と失業者を足した数。就業者の数は分かるので、問題は失業者数なる。

景気が悪いときには働き盛りの30〜50代の就業者が仕事をなくし失業者になる(もちろん新卒で仕事がない人も失業者になる)。そして経済が危機的になり景気が上向かないと、会社も雇用を減らすので失業者が増え失業率が上がる。ちなみに、失業者が仕事を探すのを諦めると、これが失業率を下げることになる。

今度は経済が回復傾向になると、いままで仕事を探していなかった人たちが仕事を探し始め労働力人口に加わる。そうなると仕事を見つけた人は就労者に含まれ、見つからない人は非失業者/失業者に加わる。全体では労働力人口を押し上げることになるので失業率を押し下げる働きが加わる。

しかし、労働力人口は仕事を探していない人は失業者に含まれないので失業者数には入らない。逆に言えば、仕事探しをあきらめた人は失業者には当てはまらないので、失業者数を押し下げることになる。もちろんそれが下がれば失業率は下がる。この状況に陥るのは仕事探しても仕事が見つからず、次第に仕事を探すのを諦める人が増えた時。2013年12月がその状況に当てはまるかもしれない。

また経済が悪い状況からの雇用は、会社は目先の利益を優先し保守的になりパートタイムなどの求人を増やし正規雇用を減らす傾向が高い。それによって失業率の数字は下がっても、実際は安価な賃金で働く就労者が増え生活水準の向上にはつながらない。

従って労働力人口を見極めるのはきわめて難しい。それを簡単にデータで表されているのが非農業雇用者数(Nonfarm payroll、グラフ中参照)。これは毎月の雇用者数がどれだけ加わったかを見ることができ、(米国の)雇用統計の発表には必ず失業者数とこの数字がニュースのヘッドラインに現れる。
    
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<左>2013年アメリカ非農業雇用者数 <右>労働者参加率 Source: U.S. Department of Labor

もちろんこれだけでは就業者の雇用体系や賃金は分からないが、ある程度の雇用の全体像が見えてくる。例えば2013年11月の失業率は7%、そして非農業雇用者数は24万人の増加。10月の失業率は7.2%、非農業雇用者数は20万人なので雇用者数の増加は失業率の低下につながっているとだいたい分かる。

12月の失業率は一気に下がって6.7%、しかし非農業雇用者数は7万人のみの増加。雇用者数はさほどのびていないのに失業率が大幅に低下。これは今まで仕事を探していた非就業者が労働力人口から離れた結果に寄る。

もう一つ見ておきたい統計は労働力率(Labor Force Participation Rate、グラフ左参照)。この統計は人口から見た労働力の参加率を見ているので、労働力の増減を分析するときに役立つ。12月は明らかに減っているので、仕事探しを諦めた人が増えた結果かもしれない。また、季節的な影響もあるかもしれない。加えて、12月はホリデーシーズンでクリスマス休暇も多く大雪による影響も加わるので、統計の内容が読みにくい。

雇用統計は経済指標の中でも最重要の一つ。数字の内容を読み解くことは安易ではないが、少しでも毎月のデータが適切に読むことができれば実際の雇用の内側が見えてくるのではないか。
    

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