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中国:モダンで清潔な大都市のトイレと、まだまだ汚い内陸部のトイレ
2016年12月28日
Akira Kondo
発展著しい上海・五角城に今年オープンしたHyatt Regencyホテルにあるトイレは、モダンで清潔感が漂い、スペーシャスな作りとなっている。
どこの国に行っても必ず必要となるのがトイレ。海外でトイレに困った人も少なくないだろう。 以前、中国に行って汚いトイレを目にして困った経験をした人も多いのではないか。しかしその中国だが、トイレと聞くとあまりいいイメージを感じない人がほとんどだろうが、いまではほとんどの大都市には日本と同じぐらい清潔なトイレが設置されるようになってきた。上海の金融街・陆家嘴(Lujiazui)にあるifcショッピングモールのトイレでは、常に必ず一人の清掃員がスタンバイしており、いつも清潔に保たれている。その反面、内陸部の都市ではまだまだ旧型のトイレが多く、それらのトイレは不衛生を感じる。世界第2位の経済大国の中国、トイレ事情は今どうなっているのか?
日本ではどこでもトイレを見つけることができるが、アメリカやヨーロッパ旅行中にトイレがなかなか見つからない経験をされた人も多いだろう。例えば、モロッコでなかなか見つけることのできないトイレをやっと見つけて使おうとすると、チップをしつこく要求されたりする。中国はどうだろう?今日では大都市のいたるところにトイレが設置されていて、もちろんお金を取られることはない。大型ショッピングモールは開店時間ならいつでも使用できるのは当たり前で、他にも道路脇に青いボードに「公共厕所」と書かれた施設は、誰でも利用できる公共トイレだ。上海などの大都市に滞在する限りは、まずトイレに困ることはないだろう。
最近では中級都市でも大型ショッピングモールはあるので、旅行者ならまずトイレに困ることはほぼないに違いない。中国の最内陸にあるウルムチでも、市内ならショッピングモールは見つかるし、もしなければ公共トイレや、KFCのトイレなどがいつでも使用できる。しかしさらに田舎町に行こうとするなら、トイレに困ることが多くなるだろう。どうしても我慢ができない場合には、その辺に建っている家のドアをノックしてみよう。トイレぐらいなら親切に使わしてくれるのが中国のいいところだ。
さて、上海などの大都市のトイレは今どのようになっているのだろう?先ほども述べたifcショッピングモール内のトイレは常に清潔だ。しかも便器は10以上あるのでまず混むことはない(筆者は男性なので女性のトイレはわからないが)。そして、清掃員が常に配備されているので、いつも清潔な状態で保たれている。環境のせいか、コスト削減のせいか日本ではあまり目にすることもなくなってきたお手拭き用のティッシュがあるのも嬉しい。
(左)上海の金融街・陆家嘴(Lujiazui)にあるifcショッピングモールのトイレ。モダンで清潔感が漂い、日本のトイレの質と変わりはない。(右)2015年、南京東路にオープンしたばかりの大丸百貨店のトイレ。日系のデパートとあり、もちろんTOTO製品が使われている。
また、ショッピングモールが林立する上海のような大都市では、トイレの設備がすでに日本と同じぐらい発達している。その中でも、TOTOの製品が近年よく目にするようになり、新しく開店するショッピングモールではそのブランドを多く見かけるようになった。もはや、TOTOを知らない中国人はいないのではないかというほどだ。もちろんTOTOブランドを採用しているトイレはいつも清潔感を感じ、使用者にも人気となっている。
その反面、内陸部の小規模都市などに行くと、TOTOなどのグローバルブランドは目にすることもなくなる。筆者は湖南省にある邵阳市(Shaoyang City)のある高校に行く機会があった。湖南省の玄関口となる長沙から車で3時間の距離があり、まず筆者がお世話になったのが、その高校の職員用のトイレとなった。職員用といっても、筆者が外国人とあり、来賓用の“広い”トイレを使わせてくれた。ドアを開けて入ってみると、大きな一部屋がトイレという感じで、スクワットトイレが中央にポツンと設置されていた。お世辞でも清潔とは言えないが、のちに説明する学生用のトイレよりはまだマシといった感じだ。しかしよく見渡すと、すぐその隣にもう一つ同じスクワットトイレが置かれていた。ドアにも鍵がないことに気づき唖然とした筆者だが、後からトイレに連れて来てくれた人に聞いて見ると、二人までが一緒に使えるトイレだそうだ。もちろん、その二つの便器の間には仕切りもないのでプライバシーはまずない。
(左)湖南省・邵阳市にある高校の職員用トイレ。二人までが同時に使えるトイレだが、その間に仕切りなどはない。また、中規模都市以下のトイレはスクワット式がほとんどだ。(右)同高校の学生用トイレ。便器などはなく、ステップに乗って用を足すことになる。一定の時間になると、水路に水が流れる仕組みで、あまり清潔とは言えない。また仕切りも低く扉などはないので、プライバシーはないといっていいだろう。
そして、構内を歩いていると学生用のトイレを見つけたので、少し拝見させてもらった。こちらは清潔感という感じは全くなく、便器というものは設置されていないのが印象的だ。用をたす時は、横一列に連なった踏み台に乗って使用する感じで、以前の日本にもあったかもしれない。生徒が下校後ともあって、女子トイレも見せてもらったが、もちろん便座というものはなく、踏み台に座って使用する感じになる。その踏み台の間には水路があり、一定の時間になると水が流れる仕組みになっている。用をたす場所は低い壁で仕切られているが、ドアなどはないのでプライバシーは全くないといっていいだろう。
学校の外では、小規模都市とあってかトイレを見つけるのに苦労した。あったとしても、KFCやマクドナルドのトイレが最善のチョイスで、それ以外の場所ではローカルホテルのロビーにトイレがあるぐらいだ。もちろん清潔感は全くなく、できれば使いたくないのが本音だろう。まだまだ、小規模都市ではトイレの発展は遅れており、旅行者にとっても悩ましいことに違いない。
内陸部最大都市、成都はどうなっているだろう?もはやグローバル大都市とあって、まず旅行者がトイレで困ることはないだろう。新しくできたアップルストアーやフラッグシップのスターバックスストアーがある太古里に設置されているトイレは清潔で、モダンだ。上海ほどではないが、市内にはいくつかのショッピングモールがあるのでトイレは簡単に見つけることができる。しかし上海の清潔なトイレに比べると、見劣りもするし、清潔感もそれほど感じないのが現状だ。もし、清潔なトイレを使用したいなら、市内にたくさん存在する外資系高級ホテルのトイレを使用するのがいいだろう。
中国最大の内陸都市・成都の人気観光地の太古里にあるトイレ。モダンな作りで、一人一人のトイレのスペースも大きめとなっている。洗面台には、自動ソープやハンドドライヤー、お手拭きペーパーが付いている。
観光やビジネスで行く機会の多い中国だが、上海や深セン、成都などのグローバル都市以外ではまだまだトイレは発展途上なのは間違いない。首都北京は古い都市とあってトイレの質は上海に比べるとはるかに遅れている。しかし、毎年のように新しく開店するショッピングモールのトイレはとても清潔でモダンな作りになっている。また外資系の5星ホテルもどんどんオープンしているので、それらのトイレは高級感が漂っている。内陸都市のウルムチや長沙、広州なども北京とあまり変わりはないが、以前に比べるとトイレがどこでも見つかるようになってきた。観光者にとってはとてもありがたい。そして、TOTOのプレゼンスが中国各地に広がっているのも印象的だ。
成都双流国際空港にある中国国際航空のラウンジのトイレはそのTOTO製品が使われているし、上海の歩行者天国・南京東路に昨年オープンした日系の大丸百貨店のトイレにはもちろんTOTOの製品が使われている。どちらのトイレもとてもモダンで清潔だ。ちなみにそのTOTOの海外の売上高の約半分は中国となっている(2016年度の中間報告書より)。近年中国人観光客がウォッシュレット機能付きの便座を爆買いするニュースなども流れたが、間違いなく彼らは日本のような清潔なトイレに興味を持ち始めているのは確かだ。グローバル都市上海のトイレはすでに日本と同じぐらいモダンで清潔で、これからは中国全土にもどんどん広がって行くだろう。日本人観光客が中国でトイレに困ることが少なくなる日は近いに違いない。