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中国:上海での住宅購入に必要な頭金が70%に!さらに独身者が増える?
2016年11月30日
Akira Kondo
上海金融街・陆家嘴に位置する日本円で1億円以上はする高層マンション。2016年5月4日撮影
まさに「寝耳に水」とはこのことだろうか?11月28日午後9時に中国グローバル都市・上海での住宅購入に対するダウンペイメント(頭金)の引き上げが行われた。なんとその額、住宅価格に対して最大70%、翌日29日からの購入に対して適応となる。ちなみに住宅バブル真只中の上海の平均新築住宅価格は1平方メートルあたり4万元(日本円で約65万円)から5万元といわれ、一般的な90平方メートルの2LDKでは日本円で約6千万円にもなる。そして、ダウンペイメントが70%になると、4,500万円が新築住宅購入に必要だ。いくら裕福な上海人といえども、さすがにここまで住宅購入の規制が厳しくなると頭が痛い話となる。
もちろん、すべての新築住宅購入に対して70%のダウンペイメントを課するわけではない。その70%の対象となるのが、上海にて2回目以降の住宅購入、そして市内の中心部(現地では「内环内(Inner Ring Expressway Road)」と呼ばれる内环内リング高速道路の中の地域)にて450万元以上(日本円で約7,500万円)の物件を購入する場合になる。観光客に人気のある豫園、南京東路、静安寺、金融街の陆家嘴 などは市内中心となるので、2回目以降の住宅購入者に対して70%のダウンペイメントが必要だ。それらの地域はもともとの住宅価格が高額で、例えば陆家嘴で高層マンションの一室を購入するとなると軽く1,000万元は超える。それに対しての70%のダウンペイメントなので、どれだけ住宅の購入のハードルが高くなったか想像つくだろう。
そして中心部の外側の地域(内环内リング高速道路の外側の地域)から外环外リング以内では、310万元以上の物件購入に対して、そしてその外环外リング外の地域では230万元以上の物件購入に対して70%ダウンペイメントが必要になる。それらのしきい値以下なら50%のダウンペイメントとなるが、上海ではその価格以下では住宅購入は難しいだろう。ちなみに、内环内リングの外側の地域でも住宅価格は以外と高く、3LDKでも600万元、4LDKで1,000万元はする。結局は多くの住宅購入者は70%のダウンペイメントが必要となる。
上海中心部とその外側の地域のダウンペイメントに対するしきい値。
加えて、上海で初めての住宅購入者は35%のダウンペイメントが必要になる。しかし、その購入者が独身者で、その両親が以前に中国国内で住宅を購入したことがあるなら70%のダウンペイメントが必要となる。上海では男性の独身者が結婚するためには、家(住宅、中国の都市部では土地を持つことができないので、高層マンションや集合住宅の一室を「家」と呼ぶ。)を保有していないといけない習慣がある。特に見せびらかすのが大好きな上海出身女性と結婚を考えている男性は、見栄えのいい家を購入しないといけない。もちろんそのような家は値段も高くなるので、男性にとってはとても頭が痛い話だ。何より、20歳後半の独身者が一人でそのような高価な家が買えるはずもなく、今まではその両親が家の購入資金を援助するのが当たり前だったが、今月29日からはさらに(2回目となる購入者は)70%のダウンペイメントが必要となるので、上海の晩婚化がさらに進むかもしれない。
また、29日には上海の住宅ローンが10%上昇した。現在HSBCの住宅ローンは5年以上の期間(日本のように30年ローンはない)で4.9%となっている(11月30日現在)。マイナス金利導入で住宅購入を考えさせられた日本の金利と比べるとどれだけ中国でローンを組むのが難しいかがわかる。 さらに、今日では裕福な中国人はオーストラリアやカナダ、アメリカなどの物件購入に手を伸ばしている。もちろん、彼らにとって上海などの大都市で家を購入するより、それらの地域で物件を購入したほうが割安だからだ。その結果、中国人に人気なバンクーバーなどでは住宅バブルが起こる原因ともなっている。最大70%のダウンペイメントが必要となった上海、日本でも近い将来中国からの住宅購入者がさらに増えるかもしれない。